不起訴率とは?その意味と計算方法をわかりやすく解説

ニュースや報道で耳にすることの多い「不起訴率」という言葉ですが、正確な意味や計算方法を理解している方は少ないかもしれません。この記事では、不起訴率の定義や背景、実際の運用について法律の観点からわかりやすく解説します。

不起訴率とは何か?基本的な意味を知る

不起訴率とは、検察が受理した刑事事件のうち、起訴しなかった事件の割合を指します。つまり、起訴されずに終結した事件の比率です。

計算式としては以下のようになります。

項目 内容
不起訴率 不起訴件数 ÷ 検察庁が処理した事件件数 × 100

注意すべき点は「逮捕数」ではなく、「検察庁が処理した事件数」が母数になることです。

逮捕数・書類送検との違い

逮捕された人数と起訴・不起訴の判断は直接連動していません。警察が逮捕または書類送検した事件は、その後に検察に送られ、検察が最終的に起訴するかどうかを判断します。

たとえば、警察が逮捕しても、証拠が不十分であれば検察は不起訴処分にすることがあります。そのため、「逮捕された数に対する不起訴の割合」は公式な不起訴率ではありません。

不起訴になる主な理由

不起訴になる理由はさまざまですが、代表的なものは以下の通りです。

  • 嫌疑不十分(証拠が足りない)
  • 起訴猶予(罪はあるが社会的制裁や反省が見られる)
  • 被害者との示談成立
  • 法的要件を満たさない(そもそも罪に問えない)

特に軽微な事件では「起訴猶予」として不起訴になるケースが多く見られます。

統計上の不起訴率の実例

たとえば、令和4年度の法務省統計では、刑事事件の約60〜70%が不起訴となっています。この数値は事件の種類や性質、社会的背景により変動があります。

詐欺や暴行など比較的軽微な犯罪は不起訴率が高い傾向にあり、殺人や重大事件では起訴率が圧倒的に高くなります。

不起訴処分でも前科はつくのか?

不起訴となった場合、原則として「前科」はつきません。ただし、逮捕歴は残るため、完全に「なかったこと」になるわけではない点にも注意が必要です。

一方、起訴猶予であっても、警察や検察内部の記録には残り、将来的な捜査や処分判断に影響する可能性があります。

まとめ:不起訴率は検察判断の結果を示す指標

不起訴率とは、「警察から送致された事件のうち、検察が起訴しなかった割合」を意味します。誤解されがちですが、逮捕数に対する比率ではなく、あくまで検察が処理した事件のうち起訴しなかったものの比率です。

その背景には、証拠の有無、社会的配慮、被害者感情など複雑な事情があり、必ずしも「不起訴=無実」ではないことも理解しておく必要があります。

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