通勤や通学、買い物などで車を運転していると、バスがバス停で長時間停車している場面に出くわすことがあります。周囲に乗客がいないにも関わらず、数分間停車していると「これは違法なのでは？」「なぜ発車しないの？」と疑問に思う方も多いでしょう。この記事では、バス停前での停車に関する法律やバス運行の仕組みをわかりやすく解説します。
バス停での長時間停車は違法なのか？
道路交通法では、バスがバス停で乗降扱いのために停車することは適法とされています。さらに、バスの定時運行を維持するために、運行スケジュールに基づいた「時間調整停車」も認められているのが現状です。
ただし、停車時間が不必要に長く、他の交通に著しく支障をきたすようであれば、「道路交通法第76条（他の交通の妨害）」に抵触する可能性もゼロではありません。現実には、通報がなされない限り違法性を問われるケースは稀です。
なぜバスは人がいないのに停車しているのか？
バスには「定時運行」という使命があります。時刻表通りに各停留所を通過・発着するため、早く走りすぎてしまった場合には「時間調整」をする必要があります。特に幹線道路以外の路線バスでは、時間調整のためにバス停で数分間停車することがよくあるのです。
例えば、目的地に5分早く到着してしまうと、乗客が予定よりも前にバスを逃してしまう恐れがあります。そのため、運行管理上は“時間ぴったり”に停まることが求められています。
交通の流れを妨げないための配慮
バス会社の多くは、交通の妨げにならないよう、広いバスベイ（バス専用の停車スペース）を設けた場所で調整を行うよう指導しています。しかし、住宅街や細い道沿いではスペースが限られているため、やむを得ず道路上で調整するケースもあるのが実情です。
このような場面では、後続車両の安全を確保するためにハザードランプを点灯させたり、できるだけ左に寄って停車するなどの対応が取られています。
地域によって異なる停車ルールの工夫
都市部ではGPSを用いたリアルタイム運行管理システムにより、交通状況に応じて自動的に速度調整やルート変更ができるバスも増えてきました。これにより、路上での長時間停車が少なくなる工夫もなされています。
一方で地方部では、設備の制限や交通量の少なさから、昔ながらの運行方法を採用しており、どうしても停車時間が長くなることがあります。
もし不満がある場合の対応方法
あまりにも長く道路をふさぎ続ける場合や、安全面に不安があると感じた場合は、国土交通省の各地方運輸局や、地域のバス会社に連絡することで、改善の働きかけができる場合があります。
苦情ではなく、建設的な意見として伝えることで、より安全で円滑な道路交通が実現されることもあるでしょう。
まとめ：バス停での停車は必要な場合がある
バスが人がいないバス停で長く停まっているのは、決して怠慢ではなく「定時運行」のための時間調整であることが多いのです。違法とは言えないケースがほとんどですが、周囲の状況に応じた柔軟な対応が今後ますます求められていくでしょう。
市民の声も大切な一助となります。気になる場合は丁寧に状況を伝えてみることも、より良い交通環境づくりに貢献する手段の一つです。