裁判所から「訪問等禁止仮処分申立書」が届いた場合、驚きや不安を感じるのは当然です。この記事では、訪問禁止仮処分の概要から、申し立てを受けた側の注意点、さらには損害賠償が請求される可能性とその金額の目安まで、法律実務の観点からわかりやすく解説します。
訪問禁止仮処分とは?
訪問禁止仮処分とは、相手方の自宅や職場などへの接近や連絡を一時的に禁じるための裁判所による緊急措置です。ストーカー行為やDV、迷惑行為などが背景にあることが多く、被害者の安全や精神的平穏を保護する目的で申し立てられます。
仮処分はあくまで「本訴訟前の暫定的措置」であり、違反すると刑事罰や強制執行の対象となる場合もあります。
申し立てを受けた際にまずやるべきこと
仮処分申立書を受け取った場合、まずすべきは内容の確認と期限内の意見陳述です。記載されている禁止行為の範囲(訪問・電話・SNSなど)を把握し、違反しないように慎重に行動しましょう。
また、反論や事情説明がある場合は弁護士を通じて「意見書」を提出することができます。勝手な対応はかえって不利に働く可能性があるため、法的アドバイスを受けることが重要です。
賠償金の可能性とその金額の目安
仮処分自体には損害賠償の金額は含まれていませんが、別途損害賠償請求訴訟が提起される可能性があります。特に精神的苦痛を理由とする慰謝料の請求が想定されます。
一般的な目安として、
- 軽度な迷惑行為の場合:数万円〜10万円程度
- 繰り返しの接近・連絡などがあった場合:20〜50万円前後
- ストーカー行為等の悪質性が高いケース:100万円以上
となることがあります。ただし、これはあくまで過去の判例を参考にした目安で、具体的な金額は事案の詳細、証拠の有無、被害者側の主張により大きく異なります。
弁護士に相談するべきタイミング
仮処分を受けた時点で、法律の専門家である弁護士に相談するのが最も安全です。特に以下のような場合は早期の法的対応が求められます。
- 事実に誤解があると感じている
- 申し立て内容に心当たりがない
- 仮処分に違反する可能性がある行動をしてしまった
- 損害賠償請求や刑事告訴に発展しそうな雰囲気がある
仮処分は法律上の強制力を持つ手続きですので、軽視せず専門家のサポートを受けましょう。
違反した場合のリスク
仮処分に違反すると、間接強制と呼ばれる金銭的制裁(例:1回違反ごとに10万円支払うなど)や、民事訴訟での不利な判断材料になるだけでなく、刑事事件化する可能性もあります。
警察に通報された場合、ストーカー規制法や迷惑防止条例などで逮捕や罰金刑となることもあります。状況を悪化させないためにも、違反は絶対に避けましょう。
まとめ:誠実に対応しつつ冷静な判断を
訪問禁止仮処分を受けた場合は、相手との直接的な接触を避けながら、法的な手続きを適切に踏むことが重要です。損害賠償の有無や金額も、早期に弁護士と相談することで見通しが立てやすくなります。
感情的に反応するのではなく、冷静かつ誠実な対応が問題の早期解決とトラブル回避につながります。