原付で追突事故を起こしてしまった際、「すべての修理費を負担しなければならないのか?」「前の車が急ブレーキでも10対0になるのか?」と不安になる方は多いでしょう。特に自賠責保険しか入っていない場合、どう対応すべきか迷ってしまうことも。本記事では、そうしたケースにおける法律的・実務的な対応策を、交通事故の専門知識をもとに詳しく解説します。
追突事故は原則10対0が基本ルール
一般的に、追突事故は「後ろから追突した側に100%の責任(過失)がある」とされるのが原則です。これは道路交通法に基づき、前方不注意や車間距離の保持義務違反があると見なされるためです。
たとえ相手が急ブレーキをかけたとしても、その直前に割り込まれたり急停車の合理的理由があった場合を除き、後方車の責任が重くなります。
例外的に10対0にならないケースとは?
以下のようなケースでは、必ずしも追突した側が100%責任を負うわけではありません。
- 急ブレーキの原因が前方車の過失(例:わざとブレーキを踏んだ「ブレーキテスト」)
- 事故現場のドラレコ映像などにより、追突した側の注意義務が果たされていたと認められる場合
- 信号無視など明確な違反が前方車にあった場合
しかし、これらはごくまれで、かつ証明責任は追突した側にあります。
自賠責保険だけでは物損補償されない
自賠責保険は、人身事故(相手の怪我や死亡)に対する最低限の補償しかカバーされません。物損、つまり相手の車の修理費などは自賠責保険では一切補償されないため、自費で負担する必要があります。
そのため、相手の保険会社が「修理費は全額負担」と主張するのは、法的には正当とされるケースが多いです。
相手の保険を使う場合も過失に応じて請求される
相手側が車両保険に加入していて、そちらを使った場合でも、その修理費の過失相当分は加害者(あなた)に請求されます。つまり、相手が保険を使うか使わないかに関係なく、支払い義務は発生します。
また、保険を使えば相手側に等級ダウンの影響が出るため、保険会社としても加害者への請求を強く行う傾向にあります。
支払い能力に不安がある場合の対応策
修理費の全額支払いが難しい場合は、以下の対応策を検討しましょう。
- 分割払いの交渉:相手の保険会社と直接交渉し、分割払いの合意を取り付ける
- 法テラスに相談:無料で法律相談が受けられる「法テラス」の活用
- 任意保険加入の検討:今後のためにも任意保険(特に車両・対物賠償)の加入を検討
また、事故の詳細や過失割合に不服がある場合は、交通事故紛争処理センターに相談するのも有効です。
まとめ:追突事故後の対応で知っておくべきこと
- 追突事故は原則10対0で、追突した側が全責任を負う
- 自賠責保険では物損補償がなく、修理費は自己負担
- 相手の保険を使っても過失割合による請求は発生
- 支払いが難しい場合は分割交渉や専門機関への相談が可能
事故後の対応に迷ったら、焦らずまずは事実確認と専門家の助言を受けることが重要です。