日常的に利用される歩道での自転車事故は、誰がどのルールに違反したかを判断しにくいケースが多くあります。特に、道幅が狭く対向自転車と接触した場合、どちらが加害者なのか、感情的な言い合いになってしまうことも。本記事では、歩道での自転車の通行ルール、事故時の適切な対応方法、そして責任の所在を分かりやすく解説します。
歩道での自転車通行の基本ルール
原則として、自転車は車道を通行すべきですが、例外として歩道通行が認められる場合もあります。例えば「自転車通行可」の標識がある歩道や、13歳未満・70歳以上などの条件に該当する場合です。
歩道を通行する場合、自転車は「車道寄りを徐行」する義務があります。また、歩行者に進路を譲る必要があり、基本的には「安全に通行できる速度」で走ることが求められています。
すれ違いや追い越し時の注意点
道幅が狭い歩道では、自転車同士のすれ違いや追い越しが特に危険です。追い越しをする際には、前方の自転車との距離、対向自転車の有無、視界の確保が重要になります。これらを確認せずに無理に追い越すと、接触や事故のリスクが高まります。
たとえば幅が自転車2台分ほどの歩道で前の自転車を追い越そうとした瞬間、対向の自転車が傘を差しながら走ってきた場合、双方の注意不足が事故の一因とされることがあります。
法律上の責任の考え方
自転車同士の事故は、どちらか一方の明確な過失がある場合を除き、基本的には過失割合によって判断されます。たとえば追い越しをした側に安全確認不足があれば、過失割合が大きくなります。
ただし、相手が前方不注意で傘を差したまま走っていた、逆走していたなどの要素があれば、相手側の過失も認められる可能性があります。事故状況の詳細を証明するためにも、できれば警察に通報し、現場検証をしてもらうことが望ましいです。
トラブル対応のポイント
事故の直後に相手が暴言や暴力的行為（たとえば自転車を蹴るなど）を取った場合は、民事だけでなく刑事上の問題に発展する可能性があります。その場で証拠を確保し、可能であれば第三者の証言も得ておきましょう。
また、相手の連絡先や氏名を記録しておくことも重要です。相手が立ち去ってしまった場合は、ナンバー付き自転車であれば自転車防犯登録番号などを控えておくと、後で警察に相談する際に役立ちます。
保険の確認と今後の備え
自転車事故に備えるには、自転車保険や個人賠償責任保険への加入が重要です。近年では、自転車保険の加入が義務化されている自治体も増えており、自分や家族が加害者・被害者いずれになった場合でも、金銭的な負担を軽減できます。
また、自転車を安全に利用するための啓発活動や講習なども多く開催されていますので、参加することもおすすめです。
まとめ：歩道での自転車事故は「双方の注意義務」がカギ
歩道での自転車同士の事故は、どちらが悪いと決めつけることは難しく、双方の行動が問われます。追い越し時の安全確認、すれ違いの配慮、歩道での通行マナーを守ることが事故防止の第一歩です。万が一の事故に備えて、保険の加入や警察への適切な対応も忘れずに行いましょう。