養育費の未払いは、子どもの生活に直結する重大な問題です。離婚時に取り決めた内容が守られていないと感じたとき、泣き寝入りする前に知っておきたい法的な手段や実践的な対応策をまとめました。今回は、公正証書があるケースに焦点を当てて解説します。
公正証書がある場合の強みとは？
養育費に関する取り決めを公正証書で交わしている場合、それは「債務名義」として機能します。つまり、家庭裁判所を通さずに強制執行（差押え）を行える法的効力があるのです。
たとえば、給与口座や勤務先が判明している場合、差押え手続きを行うことで未払い分を回収できる可能性が高まります。
1ヶ月分の未払いでも請求はできる？
はい、できます。たとえ1ヶ月分であっても、公正証書があるなら法的な請求の根拠となります。重要なのは、相手との感情的なやり取りに終始せず、淡々と法的手続きを進めることです。
特に、「少額だから仕方ない」と諦めると、今後の未払いを助長する可能性があります。法的な流れでの対応が子どもを守ることにもつながります。
分割でも支払わない相手への対応策
相手に柔軟な分割支払いを提案しても無視される場合、再び話し合いを重ねても解決は難しいケースがあります。その場合は、内容証明郵便で支払いを正式に請求し、それでも無視されるようであれば、速やかに強制執行の手続きを進めるのが得策です。
実際、分割の相談にすら応じない相手に「善意の対応」は通じにくいため、専門家と連携しながら着実に対処していきましょう。
養育費を減額したいと主張された場合の注意点
「収入が減ったから養育費を減額したい」と言われても、一方的に減額されることはありません。正式には家庭裁判所に「養育費減額調停」または「審判」を申し立てる必要があります。
しかも、減額が認められるには客観的な収入減少や生活困難の証明が必要です。感情的な圧力に屈する必要はありません。
実際に差押えを行うには？
差押えを行うには、公証役場で作成した公正証書に基づき、家庭裁判所を介さずに地方裁判所へ「強制執行申立書」を提出します。
必要な情報は以下の通りです。
- 相手の勤務先または銀行口座情報
- 公正証書の正本
- 未払い金額の明細
不明点がある場合は、弁護士や司法書士、または「法テラス」に無料相談するのも一つの方法です。
感情に流されず、子どもの権利を守る選択を
未払いを諦めてしまうと、将来の支払いにも影響が出る可能性があります。法的手段を取ることは「仕返し」ではなく、子どもの生活権を守る正当な行動です。
相手の逆上や脅し文句に屈することなく、公正証書に裏打ちされた権利を粛々と行使しましょう。
まとめ：養育費未払いへの最適な対応とは？
たった1回の未払いでも、見過ごすべきではありません。公正証書があるならば、それは強力な武器となります。感情に流されず、法的に対処することで、お子さんの権利と生活を守る第一歩になります。
まずは内容証明郵便での請求、その後必要に応じて差押えを検討しましょう。決して一人で悩まず、専門家の助けも活用してください。