交通事故により重傷を負い、長期の入院・通院や後遺症に苦しむ方にとって、将来への不安や経済的負担は非常に大きいものです。特に個人事業主である場合、売上や経営への影響も深刻です。本記事では、交通事故被害者が受け取れる保険金や補償の内訳、後遺障害等級の仕組みなどを解説し、不安を少しでも軽減するための情報を提供します。
後遺障害が残った場合に受け取れる主な保険金の種類
交通事故で重傷を負った場合、被害者が受け取れる主な保険金は以下の通りです。
- 傷害慰謝料:入通院による精神的苦痛に対する補償
- 休業損害:事故によって仕事ができなくなった期間の損失補填
- 後遺障害慰謝料:治療後も残った障害に対する精神的苦痛への補償
- 逸失利益:後遺障害により将来的に得られなくなるであろう収入の補償
これらは「自賠責保険+任意保険」のいずれからも支払われる可能性があり、内容や金額はケースにより大きく異なります。
後遺障害等級の認定が金額を左右する
後遺障害には1級~14級までの等級があり、症状の重さや影響範囲に応じて決まります。たとえば「膝の骨にボルトを入れるほどの障害」「曲がらなくなった関節」「神経の鈍さ・しびれ」が認定対象になることがあります。
たとえば12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」で後遺障害慰謝料224万円、逸失利益は年収や喪失率によって数百万円~数千万円にもなります。
自賠責の認定を受けるには医師の診断書(後遺障害診断書)などが必要で、申請は加害者側の任意保険会社または被害者自身が可能です。
個人事業主にとって重要な休業損害・逸失利益
個人事業主は給与明細がないため、休業損害や逸失利益の算定が難しくなることがあります。直近3年分の確定申告書や、事故前の売上・利益の変動を示す帳簿が重要な証拠になります。
飲食店を経営している方の場合、営業できない期間の売上減や、人手不足によるサービス縮小も「休業損害」として認定される可能性があります。
慰謝料・補償額の相場(参考例)
あくまで一例ですが、以下のような相場感が参考になります。
項目 | 相場額 |
---|---|
入通院慰謝料(65日程度) | 70万~100万円 |
後遺障害慰謝料(12級程度) | 200万~290万円 |
逸失利益 | 年収×労働能力喪失率×就労年数係数 → 数百万〜2000万円超の例も |
具体的な金額は、等級や年収・職種・年齢により変動します。
弁護士に相談するタイミングと役割
保険会社は「見積もりが出たら伝えます」と言う場合が多いですが、それを鵜呑みにせず、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士を通じることで、保険会社との交渉が有利になることが多く、相場より数百万円高い慰謝料が得られるケースもあります。法テラスなどで無料相談を活用するのも一つの手です。
まとめ:将来を見据えて正しい補償を受け取るために
・長期入院と後遺障害がある場合、慰謝料や逸失利益を合わせて数百万円〜数千万円規模になることも珍しくありません。
・個人事業主の場合は、確定申告書や売上資料が非常に重要な証拠になります。
・弁護士を活用し、適正な後遺障害等級認定と損害賠償額の確保を目指しましょう。
将来を守るためにも、早めの対応と専門家への相談が欠かせません。