空き家を相続放棄した後、市役所から「草木が伸びすぎている」と連絡が来た――そんなケースは少なくありません。本記事では、相続放棄後の空き家に関する民法の管理義務や、今後の対応策をわかりやすく解説します。
相続放棄後でも空き家に管理義務は残るの?
2023年3月末までは、相続放棄後でも空き家の管理義務が残るケースが多くありました。民法940条では、相続放棄後も「相続財産を現に占有している者」が、他の相続人や清算人に引き渡すまで⾃⾝の財産同様に注意を払う義務があると規定されていたためです:contentReference[oaicite:0]{index=0}。
つまり、相続放棄したからといってすぐ管理義務がゼロになるわけではありません。
2023年4月の民法改正で何が変わった?
2023年4月の改正により、管理義務を負うのは「相続放棄時点で現に占有していた者」に限定されました:contentReference[oaicite:1]{index=1}。
遠方に住む人や長年空き家に関与していなかった人は、「現に占有していない」とみなされれば管理義務が免除されます:contentReference[oaicite:2]{index=2}。
市役所から連絡が来たけど、どう対応すれば?
まずは、市役所からの連絡内容を確認しましょう。「特定空家」に該当する場合、自治体から改善命令や過料(最大50万円)を課されるリスクがあります:contentReference[oaicite:3]{index=3}。
放棄当時にその家に住んでいた場合は、管理義務が未だある可能性があります。遠方に住んでいたなら免責されるケースが多いものの、市役所には「相続放棄したこと」と「占有していなかった状況」を書面で説明する準備をしましょう。
管理義務を免れるための3つの方法
- 相続財産清算人を家庭裁判所に申し立てて選任してもらう
- 他の相続人に引き渡す
- 相続土地国庫帰属制度を利用する——制度利用で国に土地を帰属させる選択も可能です:contentReference[oaicite:4]{index=4}。
特に第三者に管理を委ねることで、市役所とのトラブルを事実上回避できます。
実例でみる対応パターン
【事例①】Aさんは7年前に相続放棄。当時遠方に住んでおり、家に一度も戻っていなかった。その後、市から連絡があったが、占有していない証明が通り、以降対応不要となった。
【事例②】Bさんは亡くなった親と同居しており、相続放棄後も市役所から草木の管理を求められた。家庭裁判所に清算人を申し立て、以降市の指示は清算人が対応。
まとめ:相続放棄後の空き家対応のポイント
・相続放棄後でも、**2023年4月以降は「現に占有していた者」が管理義務対象**となる。
・市役所からの指導が来たら、「占有していなかった」という事実を説明すべき。
・免責したい場合は、**相続財産清算人選任申立て**か**国庫帰属制度の活用**が有効。
空き家放置のリスクやトラブルを回避したい方は、専門家への相談を早めに検討すると安心です。