未成年時に何らかの事情で前歴があった場合、特に不起訴処分であったとしても、将来のパスポート申請に影響するのか不安に思う方は少なくありません。ここでは、パスポート申請における過去の前歴の取り扱いや、現在の制度上のポイントをわかりやすく解説します。
パスポート申請における基本的な審査基準
旅券(パスポート)の発給は「旅券法」に基づいて行われており、一定の要件を満たさない場合には交付を拒否されることがあります。
しかし、対象となるのは「有罪判決により禁錮以上の刑に処された者」など、比較的重大なケースに限られており、不起訴処分や未成年時の補導歴などは原則として旅券申請の妨げにはなりません。
不起訴処分とは?その法的な意味
不起訴とは、検察官が刑事裁判にかけないと判断した処分であり、前科にはなりません。記録としては一定期間保持されますが、それがそのまま公的な不利益につながることはありません。
つまり、不起訴である限り、旅券発給にあたって特別な申告義務や制限は発生しません。
未成年時の前歴とその扱い
少年法では、未成年の非行歴などは「保護処分」や「児童相談所送致」などにとどまる場合が多く、刑事処分ではありません。そのため、これらの情報は一定年数の経過後に抹消または閲覧制限される仕組みが取られています。
実務上も、旅券窓口でそうした前歴に関する申告を求められることはありません。
旅券法第13条に見る発給拒否の条件
旅券法第13条では、旅券の発給を拒否できる事由として以下のような項目が挙げられています。
- 禁錮以上の刑の執行中
- 渡航先でのトラブルが外交上問題となる可能性
- 旅券の不正取得など
この中に「不起訴」や「未成年時の補導歴」は含まれておらず、特段の事情がない限り影響しません。
パスポート申請時に求められる書類
未成年・成年を問わず、旅券申請に必要な書類は次の通りです。
- 一般旅券発給申請書
- 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
- 戸籍謄本
- 写真
これらの書類に「犯罪歴」や「補導歴」を記載する項目はなく、申告義務も存在しないため、特に気にする必要はありません。
まとめ:不安な場合は窓口相談も可
未成年時の前歴や不起訴歴があったとしても、パスポート申請に際して不利益を被ることは基本的にありません。
万一個別事情がある場合は、地域の旅券窓口にて事前相談することで安心して申請が可能です。制度を理解し、過去にとらわれずに前向きな一歩を踏み出しましょう。