刑務所に関する関心のひとつに「雑居房の収容ルール」があります。特に、受刑者は同性同士で収容されるのか、それとも異性同士の可能性もあるのかという点については誤解も多く見られます。本記事では、日本の刑事施設における雑居房の収容の基本原則とその背景について解説します。
日本の刑務所制度における雑居房の基本ルール
刑務所では受刑者を個室（独居房）または複数人部屋（雑居房）に収容します。雑居房とは、複数の受刑者が共同生活を送る部屋を指し、一般的に4人から8人程度の収容がされます。
日本の刑務所では、雑居房への収容において同性同士が原則となっており、異性を同室にすることは認められていません。これは、受刑者の身体的・精神的安全やプライバシーの確保を目的としており、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律（刑事収容施設法）にもその旨が明記されています。
異性収容の例外はあるのか？
通常、異性の受刑者が同じ雑居房に入れられることはなく、男女は厳格に施設内で区別されています。ただし、特別な管理体制を必要とする場合（例：妊婦受刑者や性別の取り扱いに特殊事情がある場合）に限り、男女両方に関係する施設やエリアが用意されることがあります。
それでも、雑居房という形で異性同士が物理的に同じ空間に寝泊まりすることはなく、施設内の動線や生活空間も明確に分けられています。
トランスジェンダーやジェンダー多様性に関する対応
近年、LGBTQ+への配慮も進みつつあり、トランスジェンダー受刑者に対しては性自認や医療的配慮などを踏まえて、個別の対応が行われています。ただし、性自認を尊重する一方で、安全性を最優先するという観点から、雑居房では原則として同性との収容が維持されています。
たとえば、性同一性障害の診断書がある場合やホルモン治療中である場合には、独居房での管理や専門的な医療サポートの提供が検討されることもあります。
雑居房での生活はどのようなものか
雑居房では共同生活が基本となり、就寝、食事、作業、読書、テレビなどの日常生活が他の受刑者と共に行われます。人間関係に配慮して、性格、年齢、前科、健康状態、犯罪傾向などを踏まえて慎重に部屋割りがされます。
過去には、雑居房内のトラブルやいじめが問題となった事例もあり、施設側は定期的な見回りやカウンセリングを行うなど、受刑者同士のトラブル防止にも努めています。
まとめ：雑居房は原則として同性収容が徹底されている
日本の刑務所では、雑居房は必ず同性同士で収容され、異性が同じ部屋に収容されることはありません。これは法的にも制度的にも明確に規定されており、例外は非常に限定的です。
性自認に基づいた配慮は進んでいるものの、安全性や公正性を保つための原則は厳守されています。刑務所内での雑居房の運用について理解を深めることで、制度の背景にある人権保護や秩序維持の考え方にも触れることができるでしょう。