交通事故で怪我を負い、精神的にも大きなダメージを受けた場合、専業主婦や就業していない方でも「休業損害」や「慰謝料」を相手方保険会社に請求できるケースがあります。本記事では、特にうつ病療養中の同棲主婦が事故被害に遭った事例を参考に、請求できる主な補償とその根拠についてわかりやすく解説します。
専業主婦の「主婦休業損害」は認められる?
結論から言えば、同棲中でも一定の家事分担があれば「主婦」として休業損害が認められることがあります。裁判例でも、婚姻前の同棲中に家事をしていた場合、通院や怪我によって日常生活が困難になったことが立証されれば、専業主婦と同様の評価が下される傾向にあります。
厚生労働省の賃金センサスをもとに「女性全年齢平均賃金(日額)」を基準に算出されるため、たとえば1日あたり1万〜1万2千円程度×治療期間分が支払対象となります。
精神的な後遺症は慰謝料の対象になるのか
事故によりうつ症状が悪化し、新たに不安障害やパニック症状が出た場合、それは事故との因果関係が医学的に認定されれば精神的後遺障害として慰謝料や逸失利益の対象となり得ます。
症状固定後に「後遺障害等級」の認定申請を行い、たとえば12級や14級と認定されれば、数十万円〜数百万円規模の慰謝料や逸失利益が認められる可能性もあります。
通院自体が精神疾患関連でも損害請求できる?
事故によって精神症状が再発・悪化し、それによる通院や投薬が増加した場合、その費用は事故との因果関係があれば請求対象になります。重要なのは「医師の診断書」や「事故前後の比較できる通院歴の記録」があることです。
通院費、薬代、精神科への交通費、通院付き添いの実費も全て損害として認められる可能性があります。
相手側の保険会社に対して主張できる主な項目一覧
請求項目 | 内容 |
---|---|
治療関係費 | 整形外科、精神科、薬代、診断書代など |
通院交通費 | バス・タクシー代、自家用車ガソリン代 |
主婦休業損害 | 入通院による家事不能期間の補償 |
慰謝料 | 入通院慰謝料+精神的後遺障害慰謝料 |
後遺障害慰謝料 | 等級が認定された場合に発生 |
逸失利益 | 後遺障害により将来労働能力が失われた場合の補償 |
請求のために用意すべき証拠・資料とは
- ✅精神科医の診断書(事故による悪化の記載があるもの)
- ✅事故前後の通院状況を示す通院記録
- ✅家事従事を証明する生活実態(同棲証明・家事負担割合)
- ✅事故によって制限された家事・外出行動の具体的な証言
弁護士がついている場合、これらの資料をもとに相手保険会社と交渉を進めてもらうのがベストです。
まとめ:精神的苦痛も主婦休業も補償対象になり得る
交通事故により精神的後遺症が生じた場合、入通院慰謝料に加え、後遺障害慰謝料・主婦休業損害・通院費など多くの損害項目が請求対象になります。
特に主婦業をしている状況であれば、婚姻の有無にかかわらず損害と評価されることもあり、精神科通院も適切に資料を揃えれば事故との因果関係をもって補償される可能性があります。
弁護士と連携しながら、感情的にならずに一つ一つ丁寧に証拠を整えていくことが解決への近道です。