自転車と車の接触事故は、特に交差点で頻発しており、日常の中でヒヤリとした経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。自転車は軽車両として道路交通法上の規制を受ける一方、走行環境や法的知識の差からトラブルが起きやすい交通主体でもあります。今回は、交差点における車と自転車の典型的な接触場面と、それぞれの過失について解説します。
左折車と交差点ですり抜ける自転車の接触
まずよく見られるのが、車が左折しようとした際、左側を並走またはすり抜けて交差点に進入した自転車と接触するケースです。
この場合、自転車が左折車の死角に入るため、ドライバーが気付かずに巻き込み事故となる可能性があります。自転車側も進入の仕方によっては過失が問われます。
実際の判例でも、車:自転車=7:3~6:4程度の過失割合が適用されることが多く、自転車が交差点での車両進行に対して無理にすり抜けた場合、その過失はさらに大きくなります。
歩道を逆走してくる自転車との接触
次に、車が左折する際、左前方の歩道を逆走して交差点に入ってきた自転車との接触です。歩道走行中の自転車が交差点に斜めに進入してくると、左折車の動線と交錯するため危険です。
このケースでは、自転車が歩道を逆走していたかどうかがポイントになります。日本の道路交通法では、自転車が歩道を走れるのは原則として一方通行。逆走はルール違反にあたり、自転車側に大きな過失が認められやすいです。
自転車の走行位置による過失の違い
同じ場面でも、自転車が歩道か車道かを走っていたかによって過失割合は変わります。歩道走行中に交差点へ飛び出した場合と、車道を走っていた場合では、前者の方が「飛び出し」と見なされ、自転車の過失が重くなる傾向があります。
例えば、歩道から飛び出した自転車との左折車の接触では、車:自転車=6:4~5:5が一般的。対して車道で並走していた場合は7:3程度とされるケースもあります。
交差点での自転車すり抜け・追い越しは違法?
道路交通法では、自転車にも「左折車の巻き込み防止義務」は明確には課されていないものの、車の左側からの追い越しは原則禁止です(第30条)。すり抜けのように交差点で進入してきた場合、違反になる可能性があります。
また、巻き込み事故防止の観点から、交差点進入時には自転車も車と同様に周囲を確認する義務があります。無理な進入や追い越し行為は、たとえ禁止されていないとしても過失を問われる要因になります。
事故を防ぐために運転者・自転車双方ができること
車のドライバーは、左折時には必ず巻き込み確認をし、特に左ミラーでの確認を徹底しましょう。ウインカーは早めに出し、自転車や歩行者に進行意図を明確に伝えることが重要です。
一方、自転車側も、交差点付近では車の動きをよく観察し、車の左側からすり抜けるような行為は控えましょう。特に夜間や雨天では自分の存在をアピールするためのライトや反射板の装備が有効です。
まとめ:交差点での自転車との接触事故は未然防止が鍵
交差点における自転車と車の接触は、双方の過失が絡む複雑な事故に発展しがちです。自転車のすり抜けや歩道からの飛び出しは、事故の原因となる行為であり、決して「被害者」一方では済まされません。
運転者も自転車利用者も、互いの視点に立ち、相手の動きを予測する意識を持つことが事故防止につながります。今後ますます増加するであろう自転車との共存社会に向けて、お互いのルールを理解し、守っていくことが求められています。