刑事事件の過程で押収された現金は、証拠物として一定期間保管されます。しかし裁判が終了し、証拠としての必要性がなくなった場合、正当な所有者には返還されるのが原則です。本記事では、押収金の返還の流れや注意点について、実務的な視点から詳しく解説します。
押収された現金はいつ返ってくるのか?
押収された現金は、原則として刑事手続きが終了した後に返還されます。具体的には、刑が確定したタイミングや不起訴が決定された後、または証拠としての価値がなくなった段階で返却されるのが一般的です。
なお、返還までには一定の手続きが必要であり、裁判終了後すぐに戻ってくるとは限らない点に注意が必要です。
返還を受けるための手続きとは?
押収物の返還を受けるには、通常、警察または検察庁に対して「押収物還付請求書」などの必要書類を提出します。その際には本人確認書類や印鑑、事件番号などの情報が求められる場合があります。
代理人による手続きも可能ですが、その場合は委任状や代理人の身分証明書も必要です。
返還方法は?現金書留や窓口受け取りなど
返還方法は地域や担当機関によって異なります。一般的には以下の2つの方法があります。
- 最寄りの警察署や検察庁の窓口で直接受け取り
- 現金書留などによる郵送(要事前申請)
大金の場合は、銀行振込対応ができることもありますが、現金での手渡しが原則となっているケースもあります。
返還されないケースもある?
次のようなケースでは、押収金が返還されない可能性があります。
- 犯罪収益と認定された場合(没収や追徴の対象)
- 所有者が不明な場合
- 民事上の債権が優先される場合(損害賠償など)
たとえば、詐欺事件で被害者がいる場合、裁判所が返還よりも被害者への賠償を優先する判断をすることもあります。
実際の返還にかかる時間と注意点
返還までにかかる期間はケースによって異なりますが、裁判終了から1〜3か月程度を見込んでおくとよいでしょう。手続きに不備があったり、返還申請が遅れた場合はさらに時間がかかります。
返還通知が届いた場合は、できるだけ速やかに指示に従いましょう。返還を放置すると、一定期間経過後に国庫に帰属することもあります。
まとめ:正しい手続きと迅速な対応を
刑事事件で押収されたお金は、裁判終了後に正当な所有者に返還されるのが原則です。ただし、手続きや状況によっては返還されないこともあるため、専門家に相談するのも一つの手です。返還通知が届いたら、期限内に必要書類をそろえて速やかに対応するよう心がけましょう。