交通事故に巻き込まれた際、たとえ自分が完全に停車中でも、相手の保険会社が簡単には過失割合を認めないことがあります。特にドラレコがないケースでは、証拠の不十分さを理由に交渉が難航することも。この記事では、停車中の追突事故で「相手は非を認めているのに保険会社がゴネている」状況に置かれたときに、どう動くべきかを解説します。
停車中の追突事故の基本的な過失割合
停車中の車に追突した場合、原則として追突した側の過失が100%です。これは民事上の損害賠償において「追突=前方不注意」と判断されやすいためです。ただし、その過失割合は「事故状況の証明」ができるかどうかで左右されることもあるため注意が必要です。
相手が「完全に自分が悪い」と認めていたとしても、口頭のやりとりだけでは証拠としては弱く、保険会社がそれを前提に示談交渉をするとは限りません。
ドラレコがない場合の対応方法
ドライブレコーダーがない場合でも、状況を有利にする方法はあります。以下を実践しておくことが大切です。
- 事故直後の現場写真(車の位置関係、道路状況)を複数角度から撮影
- お互いの車の損傷部位を詳細に記録
- 相手が非を認めたやり取りをメモや録音として記録(LINEや通話履歴)
- 警察の事故証明書を必ず取得
これらの情報があれば、損害保険会社側の「なんとか鑑定士」=損害調査員が写真をもとに過失割合を見積もる際の根拠として使われます。
相手の保険会社がゴネてきたら
相手の保険会社が「まだ過失割合は決まっていない」と主張する場合、以下のように対応しましょう。
- 冷静に全てのやり取りを記録・保存(メール、電話内容、LINEなど)
- 自分の保険会社に「介入を依頼」できないか再確認(介入しない方針でも強く交渉を)
- 必要なら交通事故紛争処理センターに相談
また、「弁護士特約」に加入していない場合でも、法テラスなどの無料法律相談や市区町村の交通事故相談窓口などを活用することで、自力で交渉の下支えが可能です。
保険会社が「鑑定を待つ」と言った場合の意味
相手側が「鑑定士が判断します」と言う場合、これは保険会社内部の損害調査員や第三者機関による車両損傷の解析に基づいて過失割合を決めるという意味です。具体的には。
- 損傷位置の高さや角度
- へこみ方・塗料の付着など
- お互いの車種やサイズ
などをもとに「どうやって事故が起きたか」を論理的に分析します。ただし、これも写真の撮り方次第で判断が変わることがあるため、車の損傷写真は鮮明かつ複数枚撮影することが肝要です。
今後やるべき対応まとめ
事故後にやるべきことを改めて整理します。
- 事故状況と損傷箇所の写真を撮影・保存
- 相手の非を認めたやり取りは証拠化
- 事故証明の取得と保険会社への報告
- 弁護士特約がない場合は、法テラスなどに相談
- 過失割合に納得できない場合は交通事故紛争処理センターの利用も視野に
また、交渉中は感情的にならず、一つひとつを冷静に証拠として整理していく姿勢が重要です。
まとめ:停車中の事故でも証拠が鍵になる
「停車中に追突された=自分の非はない」は正論ですが、それを立証するには証拠が不可欠です。相手が非を認めていても、保険会社が別の主張をすることは少なくありません。大事なのは、自分に有利な情報を丁寧に集め、記録に残すこと。そして、法的な手段も検討しつつ、必要なら第三者機関に相談することです。
今回のようなケースで不安を感じている方は、まずは「やれることを整理する」ことから始めましょう。それが自分の権利を守る第一歩です。