職務上請求による人探しは可能か?弁護士や司法書士に依頼できるケースと注意点

人探しを目的に、弁護士や司法書士などの専門職に依頼できるかどうかを検討している方は少なくありません。特に「職務上請求書」を用いた調査については法的な知識と適正な目的が求められます。本記事では、法律専門職が行う人探しの実情や制度の背景、依頼する際のポイントを解説します。

職務上請求とは何か?

「職務上請求」とは、住民票や戸籍などの情報を、弁護士・司法書士・行政書士・税理士などの国家資格者が、職務上の正当な目的に限って市区町村役場に請求できる制度です。

例えば、相続手続きのための戸籍収集や、訴訟に必要な当事者情報の調査など、依頼業務に直接関係する場合に限り、住民票の住所などを取得できます。ただし、職務上請求はあくまで「業務の一環」として使用されるものであり、単なる人探し目的では認められません。

弁護士が職務上請求を使うケース

弁護士は訴訟準備や調停、相続、債権回収などの案件で当事者の所在を把握する必要がある際、職務上請求を使って住民票などの取得を行います。たとえば以下のようなケースが該当します。

  • 慰謝料請求のため所在不明の加害者を特定したい
  • 相続財産分割の対象となる親族の住所を調べたい
  • 貸金返還請求で連絡の取れなくなった債務者の住所を確認したい

これらはあくまで弁護士が業務として行うものであり、「個人的に誰かを探してほしい」という依頼は通常、受けてもらえません。

司法書士や行政書士はどこまでできる?

司法書士は不動産登記や相続登記、成年後見の手続きにおいて必要な情報を取得するため、職務上請求を利用することがあります。特に不動産の相続登記で、関係者の所在が不明な場合にその調査が必要です。

一方、行政書士も必要に応じて住民票・戸籍を取得可能ですが、対象は行政手続きの補助業務に限定されます。例えば、内容証明郵便の作成や相続関連の調査業務などがこれに当たります。

人探しで依頼するには?

「個人的に会いたい人がいる」「失踪した家族を探したい」といった動機で人探しを依頼したい場合、弁護士などの職務上請求を利用するよりも、まずは探偵業者などの調査会社へ相談するのが一般的です。ただし、合法的な範囲で行動しているかは慎重に確認する必要があります。

ただし、訴訟準備中でその人物が当事者であるなど、法的に根拠のある調査であれば、弁護士が引き受ける可能性があります。

職務上請求を依頼する際の注意点

  • 正当な業務目的が必要:人探しが業務に直接関係していることが必須です。
  • 不正取得は違法:目的外使用は資格停止や懲戒の対象にもなりえます。
  • 依頼時には書面で目的を明確に:調査の背景を明記することで、受任判断がされやすくなります。

正当性のある目的であれば、専門職に相談することで職務上請求の活用が可能になるケースもあります。

まとめ:人探しには法的な正当性が不可欠

弁護士や司法書士は、依頼内容が業務として正当であれば、職務上請求を用いて住民票や戸籍の取得を行うことが可能です。しかし「単なる人探し」という理由だけでは原則対応できません。人探しの必要がある場合は、まずは目的を明確にした上で、法律専門家に相談し、正当な範囲での調査を進めることが重要です。

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