人身事故後に運転免許の点数が加算されない理由とは?交通違反と行政処分のしくみを解説

人身事故を起こした場合、多くの方が気にするのが免許の点数加算(減点)とそのタイミングです。実際に事故を起こしても、すぐに点数が引かれないケースや、最終的に処分されない事例も存在します。この記事では、その理由や制度的背景を詳しく解説します。

交通事故と免許点数制度の基本

日本では、交通事故を起こした際に適用される罰則には2つの側面があります。1つは刑事処分(罰金や起訴など)、もう1つは行政処分(点数加算や免許停止など)です。免許の点数制度は行政処分に該当し、警察や公安委員会によって判断されます。

点数加算の有無は、事故の重大性、被害者の怪我の程度、過失の内容、そして最終的な医師の診断書の内容に基づいて決定されます。つまり、加算は自動的に行われるわけではなく、一定の手続きや確認を経て処分が決まるのです。

点数が加算されない主な理由

点数が加算されない要因にはいくつかあります。まず考えられるのは、被害者の怪我の程度が軽微である場合です。行政処分における「軽傷」とは、原則として加療15日未満とされており、この場合は点数が加算されないこともあります。

また、医師の診断書が警察に提出されていない、あるいは加療日数が不明確な場合など、処分の判断に必要な情報が揃っていないケースも、処分保留や見送りの原因になります。

検察で不起訴になったことと点数処分の関係

検察による不起訴処分と免許の点数は、直接的な関係がありません。刑事責任と行政処分は別個に扱われるため、不起訴となっても免許停止や減点が課されることはありますし、その逆もあります。

とはいえ、不起訴処分が下された場合、「違反の立証が難しい」「被害が極めて軽微」といった背景が考えられます。これにより、公安委員会が点数加算の対象外と判断する場合もあるのです。

治療期間と処分タイミングの関係

事故後の処分が遅れる最大の理由は、被害者の治療期間が長引くことにあります。治療が継続中の場合、加療日数が確定せず、行政処分の根拠となる診断書が揃いません。そのため、点数処分が「保留」されたままになるケースもあります。

たとえば、当初の診断書で全治14日とされていても、再診で延長され30日を超えるような場合、公安委員会が判断を下すまでに時間がかかるのです。

車両損傷が軽微でも人身扱いになる理由

事故時に車体が無傷であっても、相手が体の不調を訴えれば、それだけで人身事故として扱われる可能性があります。実際、むち打ちや軽い打撲などは事故直後には見た目でわからず、数日後に症状が出ることが多いためです。

そのため、たとえ「車は無傷」でも、医師の診断書が提出されれば、警察としては人身事故として受理しなければならないのです。

まとめ|点数がつかないのは例外ではない

人身事故を起こしても、必ずしも免許に点数が加算されるとは限りません。怪我の程度、診断書の提出状況、行政処分の判断タイミングなど、さまざまな要因が絡み合って決まります。

処分が遅れている、または点数が加算されないと感じる場合には、警察署の交通課や免許センターに問い合わせてみることをおすすめします。また、民事での争いが続いていても、それが行政処分に影響することは基本的にありません。

事故後は冷静に事実を整理し、必要な情報を関係機関にしっかりと伝えることで、納得のいく対応が得られるでしょう。

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