スーパーなどの駐車場では、多くのドライバーが慣れない車庫入れやバック操作に手間取る場面があります。その際、焦ったり無理に通ろうとする車との接触事故が起きることもしばしば。本記事では、そうした場面で起きる典型的な接触事故の過失割合や責任の考え方について、交通事故の法的知見をもとに解説します。
駐車場内での事故は「道路」とは異なる扱いになる
まず理解しておきたいのは、一般的な公道とは違い、駐車場内は「私有地」であるケースが多いため、道路交通法の適用範囲がやや異なる点です。しかし、事故の過失割合や賠償責任は、民法上の「注意義務違反」に基づいて判断されるため、運転者の行動が厳しく問われることに変わりはありません。
事故の典型パターン:バック車と突っ込む直進車
問題の状況は、以下のように整理できます。
- バック駐車中の車(A)が切り返しをしながら駐車を試みていた
- その最中に、後続車(B)が待ちきれず前進し、Aが前進切り返しした瞬間に接触
このようなケースでは、AもBも動いている状態での事故とみなされるため、双方に一定の過失があるとされることが多いです。
過失割合の参考事例と判例
実際の判例や保険会社の示談交渉例では、以下のような過失割合が目安とされています。
状況 | 駐車車(A) | 通過車(B) |
---|---|---|
バックで車庫入れ中に直進車と接触 | 30% | 70% |
一旦停止後に切り返し中に直進車と接触 | 40% | 60% |
後方確認不十分で急に前進した場合 | 50% | 50% |
ただし、過失割合はあくまで目安であり、ドライブレコーダーや目撃証言、現場状況によって増減することがあります。
どちらがより重く責任を問われやすいか
重要なのは、後続車(B)が「無理な追い越し」や「接近しすぎ」など、安全運転義務に違反していたかどうかです。駐車場内では歩行者も多いため、急いで通り抜けようとする行為自体が危険行為とみなされやすくなります。
一方で、駐車中の車(A)も、車両が完全に止まっていなければ後方確認の義務があります。「切り返しは終わったように見えた」というだけでは、Aの注意義務が消滅することはありません。
事故後の対応とドライブレコーダーの重要性
こうした接触事故では、ドライブレコーダーの映像が最重要の証拠となります。映像でどちらが先に動き出したか、どの程度の速度だったか、警戒動作があったかなどが明確になるため、過失割合の交渉で大きく有利になります。
また、損保各社の過失割合事例集などを参考にすると、より精緻な予測も可能です。
まとめ:駐車場内ではお互いに「予測」して運転する姿勢が大切
今回のような事故では、「どちらが完全に悪い」という判断は難しく、双方に一定の過失が認められるケースが多いです。焦って通り抜けようとする行為、また周囲確認を怠った切り返し運転、どちらも避けるべき運転行動です。
事故後は感情的にならず、冷静に現場証拠の確保、保険会社への連絡、ドライブレコーダーの保存などを行いましょう。お互いが「次に同じことが起きないようにする」意識を持つことが、最も大切です。