交通事故に遭い、怪我を負った場合、「人身事故」として届け出を行うには診断書の提出が必要です。しかし「最初に行った病院で診断書をもらわないと認められない」と警察に言われて困惑する方も少なくありません。特に歯科の治療が必要なケースでは対応に迷うことがあります。本記事では、診断書の取り扱いや警察対応、実際にどのような選択肢があるのかをわかりやすく説明します。
人身事故に必要な診断書の基本的な扱い
交通事故を「物損事故」ではなく「人身事故」として扱うには、医師による診断書が必要です。診断書は原則として、事故当日に受診した最初の医療機関で発行されたものが望ましいとされています。これは、事故との因果関係を証明する上で、時間経過が少ない診断のほうが信憑性が高いためです。
ただし、これは「絶対条件」ではありません。特定の診療科がその病院にない場合や、転院を余儀なくされたケースでは、後から受診した医療機関の診断書も受理される可能性があります。
歯科治療が必要な場合の特殊性
事故により歯を負傷した場合、口腔外科や歯科での専門的な治療が必要になることがあります。最初に受診した病院に歯科がないケースでは、別の歯科医院に行くのが自然な流れです。
このような場合は、歯科での診断書を提出することも可能ですが、警察に対しては「最初の病院で診断を受けたが歯科がなかった」などの状況を丁寧に説明し、必要に応じて紹介状や経緯の記録を提示することで納得を得られるケースがあります。
警察の対応が厳しい理由と柔軟な対応例
警察が「最初の病院で」と強調するのは、事故との因果関係を明確にするためです。しかし現場では、柔軟な対応が取られることもあります。たとえば、
- 初診病院の診断書と、後日治療した歯科の診断書を併用する
- 事故直後に歯科を受診した証拠(日時・治療内容など)を明示する
- 保険会社や弁護士に相談して調整する
といった方法で対応が可能です。一度拒否された場合でも、情報を整理し直して再交渉する余地はあります。
保険会社への提出はどうすればよいか
人身事故の診断書は、警察だけでなく保険会社にとっても重要な書類です。特に自賠責保険の請求や治療費補償の申請時に必要になるため、通院のたびに診断書を出してもらうか、通院証明書を残しておくことが重要です。
また、歯科治療は継続期間が長くなることも多く、治療の段階ごとに書類が分かれることがあります。そのため、治療計画や通院履歴を明確に記録しておくことがトラブル回避につながります。
人身事故として届け出るタイミングにも注意
人身事故扱いにするには、原則として事故後すぐに届け出を行う必要があります。遅れて診断書を提出しても受理されない可能性があるため、受診後すぐに警察に連絡し、「人身事故として切り替えたい」と申し出ることが大切です。
診断書の提出期限は、地域によって異なりますが、おおむね事故日から7日以内とされていることが多いです。
まとめ:診断書と人身事故扱いのポイント
✔ 診断書は最初の病院のものが望ましいが、歯科のように例外もある
✔ 歯の治療は専門機関で対応しても問題ないが、事故との因果関係が示せる証拠が必要
✔ 警察や保険会社には経緯を丁寧に説明し、書類を揃えることが重要
✔ 事故後の届け出や対応は迅速に行い、自己判断で放置しない
事故後のトラブルを避けるためにも、必要な情報と書類は早めに整え、冷静かつ丁寧な対応を心がけましょう。