信号待ちで停車中の車に自転車が接触し、当て逃げのような形で立ち去られた——このようなケースは意外と多く、被害者が泣き寝入りする例も少なくありません。今回は、自転車運転者に接触された際の適切な対応と、損害賠償請求を確実に進めるための具体的な手順をご紹介します。
まず現場対応でやるべきこととは
事故直後に加害者が立ち去ろうとした場合でも、可能な範囲で追いかけて身柄を確保し、必ず警察に通報しましょう。道路交通法上、自転車も「軽車両」に該当し、事故後の報告義務があります。
警察が到着したら、事情聴取を受けて調書を取り、相手にも損害の認識を明確にしておくことが重要です。この段階で「念書」や「示談書」を書かせることは大きな意味を持ちます。
念書があっても支払われない場合は?
口頭の約束では支払い義務を証明するのが困難ですが、書面による念書があれば証拠として強力です。支払いが滞っている場合、まずは内容証明郵便を送り、法的措置を取る意思を示すことが有効です。
内容証明では、「○月○日までに○円の支払いがなければ、法的措置を取ります」と記載することで、相手にプレッシャーを与えます。
少額訴訟での請求も視野に入れる
損害額が60万円以下であれば、少額訴訟制度を利用することができます。これは簡易裁判所で行われ、原則1回の期日で結審するため、コストも手間も比較的少なく済みます。
訴状の書き方や必要書類(念書、修理見積書、写真、警察の事故届写しなど)を揃えれば、弁護士を通さずとも自力で手続きが可能です。
加害者に資力がない・無視し続ける場合の対処
加害者に支払い能力がない場合や、連絡を完全に無視されている場合でも、法的手段を取れば給与や財産の差し押さえも視野に入ります。
少額訴訟で勝訴すれば、支払督促や強制執行を申請できます。これにより、給料差押えや銀行口座の凍結といった実効性のある手段に進むことができます。
保険適用の可能性もチェック
自転車利用者が個人賠償責任保険や、自転車保険(加入義務化している自治体も多い)に加入している場合、加害者が保険会社を通じて損害を支払う可能性もあります。
警察や加害者に「保険の有無」を確認し、もし加入しているようであれば、保険会社への連絡を求めましょう。
まとめ:泣き寝入りせず、証拠を活用して法的対応を
自転車による接触事故も、法的には「交通事故」です。被害者として、事故直後の対応(警察通報・念書作成)を正しく行っていれば、支払いを確実に請求できます。
相手が無視を続ける場合でも、内容証明郵便・少額訴訟・強制執行など、段階を踏んで対応することで正当な権利を守ることができます。諦めずに一つずつ手続きを進めていきましょう。