交通事故後の治療費と慰謝料の正しい計算方法と保険会社との交渉ポイント

交通事故に遭った後の通院と慰謝料請求に関して、「どこまで保険会社がカバーするのか」「自己負担分は請求可能か」など、初めての方にとっては非常に複雑に感じられるものです。本記事では、保険実務の観点から、治療期間や慰謝料の計算方法、打ち切り後の対応まで、実例とともにわかりやすく解説します。

交通事故後の「治療期間」の起算日とは

交通事故後の治療期間は初診日(病院での診察日)からカウントされます。整骨院での通院が後から始まっても、医師の診断がある限り、総合的に「治療期間」に含めて計算されます。

たとえば以下のようなケースでは、治療期間は病院での初診から打ち切り日までの105日間となります:
・病院初診日:6月18日
・整骨院開始:7月1日
・打ち切り:10月1日(約105日間)

慰謝料の計算方法と相違点

一般的な自賠責保険の基準では、1日あたり4,300円が慰謝料として支払われます。計算方法には次の2通りがあります。

  • 実通院日数 × 2
  • 治療期間の日数

このうち少ない方が慰謝料算定基準となります。例として、通院日数67日、治療期間105日の場合。

4300円 × 105日 = 451,500円
4300円 × (67日 × 2 = 134日) = 576,200円
→ 少ない方の451,500円が支払われます。

打ち切り後の通院は請求可能か?

打ち切り後も治療が必要であれば、自己負担で通院した分の費用や慰謝料を請求することは可能です。ただしこれは例外的な扱いになるため、以下のような証拠が必要です。

  • 医師による継続治療の必要性を示す診断書
  • 治療に関する領収書・通院日記

これらを準備し、相手方保険会社に「症状固定前の治療として妥当」である旨を主張しましょう。

保険会社が治療打ち切りを判断する基準

保険会社は一般的に次の要素を基準に治療打ち切りの判断を行います。

  • 症状固定の見込み(治癒が見込めない状態)
  • 通院頻度の減少
  • 医学的な必要性が見られない

たとえば軽度のむち打ち症であれば、2~3ヶ月で打ち切りを検討するケースもあります。ただし、通院日数や頻度、医師の所見が継続的であれば延長交渉の余地があります

保険会社とのやり取りで気をつけたい点

保険会社が「上から目線」で対応してくると感じることもあるでしょう。しかし、こちら側にも知識があれば対等に交渉することができます。以下を意識してください。

  • 通院の正当性を医師の診断で証明する
  • 電話ではなく書面でのやり取りを残す
  • 示談書は納得のいく内容でなければすぐに署名しない

必要であれば、法テラスなどの無料法律相談を活用するのも有効です。

まとめ:正しい知識で自分の権利を守ろう

交通事故後の通院・慰謝料請求に関しては、治療開始日・打ち切り日・通院頻度がポイントになります。たとえ保険会社が治療終了を主張しても、医学的に治療が必要である根拠があれば、費用や慰謝料を請求できる可能性があります。

大切なのは、焦らず冷静に、証拠と記録をしっかり残すこと。そして納得のいく形で示談交渉を進めるよう心がけましょう。

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