自己破産を検討している方にとって、「管財事件」か「同時廃止」かは重要な分かれ道です。特に、生活保護を受けている状態で収入や資産がなくても、ギャンブルや虚偽の申告による借金がある場合は、思わぬ方向に進む可能性があります。今回は、生活保護を受けながらギャンブルで作った借金に対して自己破産をするケースについて、管財事件になる可能性や管財人の役割、そして同時廃止との違いをわかりやすく解説します。
同時廃止と管財事件の違いとは?
自己破産には大きく分けて「同時廃止事件」と「管財事件」の2種類があります。
- 同時廃止:財産がほぼ無く、調査の必要もない場合。管財人は選任されません。
- 管財事件:一定額以上の財産がある、または破産の経緯に問題がある場合。裁判所から破産管財人が選任されて調査が入ります。
生活保護を受けており、資産も収入もない場合は通常「同時廃止」になるケースが多いですが、借金の経緯によっては「管財事件」になる可能性があります。
管財事件になる主な理由:ギャンブル・現金化・虚偽申告
自己破産は「免責不許可事由」と呼ばれるルールに抵触すると、裁判所が慎重に審査するため、管財事件となる場合があります。以下のような要因が該当します。
- 浪費・ギャンブルによる借金:競馬・競輪・パチンコ・ネット投票などが該当します。
- カード現金化:ショッピング枠を換金目的で利用する行為。
- 虚偽申告:クレジットカードや借入申込時に「勤務先あり」と記載するなど、事実と異なる情報で審査を通した場合。
これらは全て、免責不許可事由として扱われる可能性があり、管財事件への移行要因となります。
管財人は何を調査するのか?
管財事件となった場合、裁判所が選任する「破産管財人」は以下の点を調査します。
- 財産の有無(隠し資産や換金行為)
- 借金の使途(ギャンブルや浪費の証拠)
- 取引の経緯や通帳・カード利用履歴
- 免責(借金の帳消し)を許可してよいかどうかの判断材料
たとえ資産ゼロでも、問題のある借金の理由や行動履歴を調査する目的で管財事件とされることがあります。生活保護費しかない場合でも、その使い方に不自然な点がないかチェックされることも。
生活保護でも「同時廃止」にならない理由とは?
生活保護受給者で収入・資産がない場合は本来「同時廃止」が一般的です。しかし、破産の経緯に問題があれば調査の必要があると裁判所が判断し、形式的には資産がなくても「管財事件」になることがあります。
また、自己破産は「誠実な手続きが前提」です。虚偽申告やギャンブル依存など、反省の様子や再発防止策が見られない場合は、免責許可も慎重になります。
まとめ:資産ゼロでも内容次第で管財事件になることがある
生活保護受給中で収入も財産もない場合でも、ギャンブル・現金化・虚偽申告があれば、自己破産は「管財事件」として扱われる可能性が十分にあります。
管財人は財産の有無だけでなく、破産の経緯や再発防止への姿勢などをチェックします。法テラスや弁護士を通して、誠実に正直に申告することが、免責を得る最善の道です。