交通事故に遭った際、「保険の過失割合」が大きな争点になることがあります。その中で「事故を警察官が目撃していた場合、こちらに有利になるのでは?」という疑問を持つ方も少なくありません。実際に警察官が現場を目撃していた場合、それがどのように事故処理や保険の過失割合に影響するのか、具体的に解説していきます。
過失割合は誰が決めるのか?
まず知っておきたいのは、交通事故の過失割合を決定するのは警察ではなく、保険会社であるということです。保険会社は、過去の判例や「別冊判例タイムズ」に記載された標準的な基準をもとに、両者の主張や証拠に基づいて交渉を進めます。
つまり、警察がどのような見解を持っているかが、過失割合を直接決定するわけではないという点に注意が必要です。
警察官の目撃証言は証拠として有効
ただし、警察官が事故の瞬間を目撃していた場合、その証言は「第三者の客観的な証拠」として非常に強い影響力を持つ可能性があります。
特に以下のようなケースでは、警察官の証言が保険会社の判断に大きく寄与することがあります。
- 双方が真逆の主張をしており、物的証拠が少ない
- 事故の過程が短時間かつ一瞬で、ドラレコ映像が不鮮明
- 事故処理にあたった警察官が実況見分調書に具体的な記載を残している
警察官の目撃情報は、実況見分調書や供述調書に記録され、後に保険会社が入手した場合には、過失割合交渉において参考資料として活用されることが多いです。
過失割合が変わった実例と証言の効果
ある事例では、交差点での右折と直進の事故において、直進車が信号無視をしていたかどうかで揉めていたケースがありました。被害者側の主張は「青信号で直進していた」、加害者側は「信号は赤だった」と反論。
このとき、偶然にも警察官が交差点に立っており、「直進車は赤信号で進入した」と証言。その結果、通常の80:20の過失割合が90:10に変わったという判例もあります。
このように、第三者の信頼性の高い証言=過失割合の修正要因として非常に重要な意味を持つのです。
警察の証言を有利に活かすには?
事故当日、もし警察が事故を目撃していた場合や、すぐに現場に駆けつけた場合には、以下のような対応を行うとスムーズです。
- 実況見分で「警察官が目撃していた事実」を確認
- 調書や現場見取り図の写しを保険会社に提出
- 可能であれば弁護士に相談し、調書の入手や評価をサポートしてもらう
また、実況見分時に警察官がどのように事故を見ていたかをしっかり確認することも大切です。あいまいなまま処理されると、証拠価値が弱まる可能性があります。
まとめ|警察の目撃は直接ではないが、重要な「間接証拠」になる
事故の瞬間を警察官が目撃していた場合、保険会社が過失割合を判断する際に重要な客観証拠となりうるため、結果として「有利になる」ことは十分にあります。
ただし、あくまでも判断権限は保険会社側にあるため、警察の目撃=自動的に勝てるというものではありません。しっかりと証言や実況見分内容を保険会社に伝え、必要に応じて法的サポートを受けることが、事故対応を有利に進めるカギとなります。