家族が亡くなった後、その方の銀行口座やお金の管理について戸惑う方は少なくありません。特に介護や日常の支援に深く関わっていたご家族が手続きを主導する場合、感情的な負担も大きいものです。今回は、亡くなった親の口座を調べる方法や、口座解約にあたって気をつけるべきポイントを詳しく解説します。
亡くなった親の口座を調べる方法
口座の有無が分からない場合、まず取引のあった銀行に対して「預金の有無の照会」を行うことができます。銀行により対応は異なりますが、通常は以下の書類が求められます。
- 死亡届の写し(または除籍謄本)
- 戸籍謄本(相続人関係を証明するため)
- 本人確認書類(運転免許証など)
金融機関によっては照会専用の申請書が用意されている場合もあります。全国銀行協会の公式サイトでは、どの銀行で照会可能かも案内されています。
電気・水道など引き落とし口座の扱いに注意
故人名義の口座から公共料金などの引き落としが続いている場合、早めの名義変更または引き落とし口座の変更が必要です。凍結された口座からは今後引き落としができなくなるため、サービス停止や支払い遅延の原因になります。
たとえば、電力会社や水道局に事情を説明すれば、一時的に支払いを延長してもらえる場合もあります。名義変更手続きには、死亡の証明書類や新しい契約者の本人確認書類が必要です。
相続人間のトラブルを避けるには
介護や生活の支援を一手に担ってきたご家族にとって、口座にあるお金を生活費に充てたい気持ちは自然です。しかし、相続財産としての扱いになるため、他の兄弟姉妹からの異議やトラブルにつながる可能性もあります。
このようなトラブルを避けるためには、相続人全員で協議し、「遺産分割協議書」を作成することが望まれます。特に障がいのある兄弟姉妹がいる場合、後見人が関与することになるため、法的な手続きがより慎重に行われる必要があります。
家庭裁判所と後見人制度の関係
障がいのある家族に成年後見人が付いている場合、相続財産の使用や処分に関しては、後見人が家庭裁判所の許可を得る必要があります。勝手に引き出したり使用したりすると、「不当利得」や「横領」とみなされる可能性もあります。
そのため、たとえ本人の生活や兄弟の生活のためであっても、事前に家庭裁判所へ相談し、法的な枠組みで進めることが大切です。
生活保護や公的支援の可能性について
相続や年金による生活の支援が難しくなった場合、生活保護の申請を検討することもできます。生活保護を受けるにあたっては、資産や収入の状況を正確に申告する必要がありますが、介護や看護を担ってきた方が受給対象になるケースもあります。
申請前には、地域の福祉事務所に事情を説明し、相談窓口に現状を共有することが第一歩です。必要に応じて福祉専門職や弁護士に相談してみましょう。
まとめ:早めに動き出し、必要な支援を受けましょう
親の死後に口座の存在を確認し、相続手続きや支払いの対応を進めるのは、精神的にも大きな負担となります。しかし、正しい手順と法的な知識をもとに進めることで、将来的なトラブルや負担を避けることができます。
特に後見人が関わる場合や、相続人間での意見が分かれそうな場合には、早めの専門家相談が有効です。気持ちが落ち着かない中でも、必要な手続きを一つひとつ進めていくことで、安心した生活への道が見えてくるでしょう。