偽札をうっかり受け取ったら?個人事業主が知っておくべきリスクと対処法

現金取引が多い個人事業主にとって、思わぬリスクとなるのが「偽札」。意図せず偽札を受け取ってしまった場合、どのような法的リスクがあるのか、そしてどのように対処すればよいのかについて詳しく解説します。

偽札を受け取っただけで犯罪者になる?

まず大前提として、偽札を知らずに受け取っただけでは、偽造通貨行使罪にはなりません。刑法では、偽札と知りながら使用した場合に罪に問われます(刑法148条・149条)。つまり「知らなかった」かつ「故意でない」場合は基本的に罪にはなりません。

ただし、偽札と気づいていたのに通貨として使用した場合は「行使罪」に該当する可能性があります。したがって、少しでも怪しいと感じたらその場で確認する姿勢が重要です。

実際に偽札を受け取った場合の流れ

銀行やATMで偽札と発覚すると、行内で回収され警察へ報告されます。本人確認や事情聴取が行われることはありますが、それだけで逮捕されることは基本的にありません。

その場で「どこで受け取ったかわからない」と話しても不自然ではありません。指紋や防犯カメラなどが調査に使われることもありますが、立証責任はあくまで警察側にあります。

偽札流通に巻き込まれないための対策

  • UVライトや偽札判別ペンの導入(5千円前後で購入可)
  • 千円札など小額紙幣を中心に受け取る
  • お札の手触りや透かし、ホログラムを日頃から意識

特に、暗い場所での手渡しや屋外での現金受取には注意が必要です。業務に支障が出ない範囲でデジタル決済の導入も検討すると安心です。

万が一の備え:日々の記録と注意点

顧客名・金額・受取日など、簡単な記録をメモやExcel等で残しておくと、後に説明を求められたときにも安心です。

また、「このお客様は偽札かも?」という先入観は禁物ですが、過去にトラブルがあった相手との現金取引は避ける工夫も重要です。

悪意のある持ち込みへの防衛策

仮に悪意をもって偽札を混入させる人がいたとしても、意図がない限り罪に問われることはありません。ただし、回数が重なると「組織的な犯行」と誤認されるリスクもあるため、1件ごとに丁寧な対応をしましょう。

銀行で偽札と判明した場合は、その紙幣は返却されず、損失となります。保険的に損金処理できる可能性もあるため、税理士と相談しておくとよいでしょう。

まとめ:現金商売でも安心のために備えておこう

偽札は誰にでも起こり得るリスクです。しかし、故意でなければ罪に問われることは基本的にないという点を押さえておけば、過度に不安になる必要はありません。

一方で、取引記録の保存や、偽札チェックの導入、状況に応じたキャッシュレスの併用など、自分の身を守る備えは重要です。安心して取引を続けるためにも、知識と準備をしっかり整えておきましょう。

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