離婚後に「離婚届は無効」と主張された場合の対処法|調停への対応と心のケアまで解説

離婚届を提出し、役所で正式に受理された後になって、元配偶者から「離婚の意思はなかった」「離婚届は無効だ」と主張されるケースは少ないながらも実在します。特に調停を起こされるような状況では、精神的な負担も大きくなります。この記事では、離婚後にこうした主張をされた場合の法的対応や、実務上の流れ、心身への負担を軽減する方法について詳しく解説します。

離婚届の受理とその法的効力

離婚届は、双方の署名・押印と必要書類が揃っていれば、市区町村役場で受理され、法律上の離婚が成立します。受理された離婚届は、戸籍に反映され、その時点で法律的に「離婚済み」となります。

この時点で、仮に相手が「本当は離婚に同意していなかった」としても、原則として効力は変わりません。ただし、重大な瑕疵(例:署名が偽造されていたなど)が証明された場合は、家庭裁判所で無効確認の手続きを行うことができます。

調停で「離婚の意思がなかった」と主張された場合

家庭裁判所で元配偶者が調停を申し立て、「離婚の無効」を訴えることは可能です。しかし、すでに離婚が成立して長期間が経過している場合、その主張が認められるのは極めて稀です。

過去の事例でも、2年以上経過し、当事者が別居し生活基盤を分けているようなケースでは、裁判所が離婚無効を認める可能性はほとんどありません。特に、離婚届が本人の署名・押印のもとで提出されていた場合、主張の根拠としては弱くなります。

すでに時間が経過している場合のポイント

民法上の原則では、「取消権」は事実を知ったときから5年以内、かつ行為の時から20年以内に行使しなければなりません。ただし、離婚のような身分関係に関する問題では、「社会通念上の信頼関係の変化」も重視されます。

例えば、すでに2年以上が経過し、別居状態が継続している、生活費の援助も行っていない、双方が再婚を検討している等の事実があれば、無効主張が退けられる可能性が高まります。

調停を早期に和解させるための実務的対策

調停は基本的に「話し合いの場」であり、和解が成立すれば終結します。調停委員に冷静に事実関係を伝え、離婚届が適法に受理されていること、現在の生活状況が離婚状態であることを丁寧に説明しましょう。

また、弁護士に同席してもらうことで、調停が長引くのを防ぎ、法的視点からの説得力のある説明が可能となります。文書で証拠を提出(例:離婚届受理証明書、別居期間を示す資料など)することも有効です。

心身の不調に向き合う方法と支援先

こうした調停や元配偶者からの主張は、精神的ストレスの原因になります。実際に胃潰瘍など体調を崩す方も少なくありません。心療内科やカウンセラーのサポートを受けることは、恥ずかしいことではなく、むしろ自分を守るために重要です。

また、法テラスなどの無料法律相談を活用すれば、費用をかけずに法的アドバイスを受けることも可能です。調停中の不安を減らす第一歩として、誰かに話すことも非常に効果的です。

まとめ:離婚無効の主張は通りにくい、冷静に対応を

すでに離婚届が受理され、数年が経過している場合に、離婚の無効を主張しても、裁判所に認められる可能性は非常に低いといえます。調停が申し立てられた場合でも、落ち着いて事実を提示し、必要に応じて法的支援を受けることで、早期の和解を目指すことができます。

心身の健康を第一に考え、必要なサポートを得ながら、前向きに状況に向き合っていくことが大切です。

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