事故や病気でやむを得ず手足の切断が必要となる場合、生活への影響を最小限に抑えるには、どの部位にするべきかという判断は非常に重要です。ここでは、医学的・生活支援的観点から、切断部位ごとの影響を比較しながら、できるだけ影響を抑えるための考え方を解説します。
手の切断：日常生活への影響が最も大きい部位
手の機能は非常に繊細で複雑です。特に利き手（多くは右手）を失うと、食事、着替え、筆記、スマホ操作などほぼすべての動作に支障を来します。
例として、右手を切断した人は、文字の書き直しや箸の持ち替えなど日常スキルを再構築する必要があり、生活リハビリに非常に時間を要します。
足の切断：移動への影響が中心、義足の適応がカギ
足の切断は移動に支障を来しますが、義足技術の発展により、比較的スムーズに社会復帰できる可能性があります。特に片足のみ（右または左）の切断であれば、訓練次第で杖や義足を使って歩行可能になります。
たとえば、パラリンピアンの多くは片足を義足にして競技に復帰しています。現在の義足は走行可能な高機能タイプも登場しています。
左右どちらが影響が少ないか？
右利きの人の場合、左手や左足の損失の方が適応しやすい傾向にあります。特に右手の損失は生活全般への打撃が大きいため、できる限り避けたい部位です。
また、利き足も歩行バランスや車の運転に影響します。日本ではアクセルが右にあるため、右足の切断は運転の自由度に制限が出ることがあります。
医師・リハビリ専門職との相談が不可欠
手術部位の決定は医師のみならず、理学療法士、作業療法士などとのチームによるアセスメントが求められます。
生活環境、家族の支援、本人の職業や趣味も踏まえて、最適な選択をすることが重要です。可能であれば義手・義足の試着体験を事前に行うことも推奨されます。
切断後の生活支援制度と工夫
障害者手帳の交付により、義肢装具の費用補助、就労支援、公共交通機関の割引など多くの支援制度があります。
また、住宅改修やITデバイスによるサポート（音声入力、タッチレス家電）も広がっており、生活の質を大きく改善する可能性があります。
まとめ
事故によって手足の切断が避けられない場合、影響が比較的少ないのは一般的に左足とされます。特に右手の切断は多機能性ゆえに生活支障が最も大きく、避けるべきといえるでしょう。
最終的には、専門医やリハビリ職と相談し、自身の生活にとって最も適応しやすい選択肢を見つけることが大切です。