交通事故によるケガで治療を受けていると、相手の保険会社から「●月●日で治療費の支払いを終了します」といった通告を受けることがあります。しかし、治療が必要な状態であるにもかかわらず、一方的に打ち切りを言い渡された場合には、適切な対処が必要です。本記事では、交通事故後の治療費支払いに関する基本知識と、納得できない打ち切り通告にどう対応すべきかを解説します。
治療費の支払い期間は誰が決める?
交通事故の治療費の支払い期間を決める権限は、本来は医師の診断と治療経過に基づいて判断されるべきものです。保険会社はあくまで「支払側」にすぎず、治療の必要性を否定する権限は持ちません。
しかし現実には、保険会社が「医学的にこれ以上の治療は不要」と主張して、支払いを打ち切るケースもあります。この場合、医師の診断書やリハビリ継続の必要性を記した意見書が非常に重要になります。
事故との因果関係が争われるケースに注意
今回のように、事故後しばらく経ってから症状が悪化したケースでは、「その症状は事故と関係ないのでは?」と保険会社が主張し、支払いを拒むことがあります。
たとえば、事故後1週間してから痛みが増した場合などは、「もともとの既往症」「事故以外の原因」が疑われることも。ただし、事故後に違和感があった、徐々に痛くなったという経過が記録されていれば、因果関係を証明できる場合があります。
医師の意見書を取得して主張を裏付けよう
保険会社の打ち切りに対抗するには、主治医の診断書や意見書が極めて重要です。医師に、
- 現在の症状が事故によるものである
- 今後も一定期間の治療が必要である
という内容の書面を依頼し、それを保険会社に提示することで、治療継続の正当性を主張することができます。
特に「治療継続の必要性あり」と書かれた医師の意見書は、保険会社にとっても無視できない証拠になります。
交渉が難航する場合は弁護士特約を検討
自分だけで交渉を続けることがストレスになったり、相手の保険会社が強硬な姿勢を崩さない場合は、「弁護士費用特約」の利用を検討しましょう。
ご自身または家族が加入している自動車保険に付帯していれば、無料または少額負担で弁護士に相談・依頼ができます。弁護士を通じて交渉すれば、打ち切りの撤回や慰謝料増額交渉も期待できます。
症状固定や後遺障害認定も選択肢に
一定期間治療しても症状が改善しない場合、症状固定と判断され、後遺障害等級の認定申請に進むこともあります。
認定を受ければ、後遺障害慰謝料や逸失利益などの賠償金が支払われる可能性があります。打ち切りを迫られている場合でも、「症状固定ではない」「今後も改善の余地がある」という主張で治療継続を求めることは可能です。
まとめ:保険会社の打ち切りは絶対ではない
保険会社が提示する治療期間は、あくまで「支払い意思」の表明であり、それに従わなければならない義務はありません。主治医の診断や意見書をしっかりと用意し、冷静に反論しましょう。
交渉が行き詰まったときには、弁護士特約の利用や法的手段を取ることで、正当な補償を受ける道も開けます。泣き寝入りせず、自分の身体と権利を守る姿勢が大切です。