裁判所の種類と役割をわかりやすく解説|受訴裁判所・執行裁判所・各裁判所の違いとは?

法律の手続きに関わると、「受訴裁判所」や「執行裁判所」といった専門用語に戸惑う方も多いのではないでしょうか。この記事では、簡易裁判所・地方裁判所・家庭裁判所などの「裁判所の種類」と、それとは別の意味で使われる「受訴裁判所」「執行裁判所」などの機能的な呼び方の違いを、具体例を交えて丁寧に解説します。

裁判所の種類|簡易・地方・家庭・高等・最高裁判所の役割

日本には以下のような裁判所が存在します。

  • 簡易裁判所:軽微な刑事事件や請求額140万円以下の民事事件などを扱う
  • 地方裁判所:重大な刑事事件や大規模な民事事件を扱う
  • 家庭裁判所:家族関係・少年事件・相続や後見などを扱う
  • 高等裁判所:控訴審を担当する
  • 最高裁判所:日本の司法の最終判断機関

これらはすべて独立した裁判所で、全国に分布しています。

「受訴裁判所」とは何か?

「受訴裁判所(じゅそさいばんしょ)」とは、訴えを最初に受け付けた裁判所を指す法律上の機能的な呼び方です。つまり、「簡易裁判所の中にある部門」ではなく、例えばある事件が簡易裁判所に提起された場合、その簡易裁判所自体が“受訴裁判所”となるという関係です。

したがって「受訴裁判所」という裁判所が独立して存在しているわけではなく、その都度、訴えを受けた裁判所がその役割を担います。

「執行裁判所」とは何か?

一方、「執行裁判所」とは、裁判の判決などを実際に実行(=強制執行など)する手続きに関わる裁判所を指します。これも独立した裁判所ではなく、通常は判決を出した裁判所、または債務者の住所地の地方裁判所が担当します。

たとえば、「貸したお金を返さない相手に対して強制的に給与を差し押さえたい」という場合、債務者の住所地を管轄する地方裁判所が「執行裁判所」になります。

受訴裁判所と執行裁判所の違い

両者の違いを整理すると以下の通りです。

項目 受訴裁判所 執行裁判所
意味 訴えを最初に受けた裁判所 強制執行などを行う裁判所
存在形態 独立した裁判所ではなく事件に応じて該当裁判所がなる 主に地方裁判所が担当(事件により異なる)
役割 裁判手続きの受理・審理 判決の実行・差押え等

このように、「受訴裁判所」「執行裁判所」という言葉は機能的な役割を示す用語であり、簡易裁判所や地方裁判所といった実体のある裁判所とは概念が異なります。

実例で理解する裁判所の関係性

たとえば、以下のようなケースを考えてみましょう。

  • あなたが貸した10万円を返してもらえず、簡易裁判所に訴えた ⇒ 簡易裁判所が「受訴裁判所」
  • 勝訴判決後、相手が支払わないため給与を差し押さえる手続きをした ⇒ 相手の住所地を管轄する地方裁判所が「執行裁判所」

このように、事件の進行や手続きのステージに応じて、裁判所の機能的な呼び方が変わることが分かります。

まとめ|混同しがちな用語を正しく理解しよう

「簡易裁判所」や「家庭裁判所」などは制度としての裁判所名、「受訴裁判所」や「執行裁判所」はそのときの役割名です。したがって「受訴裁判所がどこにあるのか?」といった疑問は、「どの裁判所がその役割を担っているか?」という問いに置き換えると理解しやすくなります。

法律用語はややこしく感じられるかもしれませんが、ひとつひとつ整理していけば正しい判断につながります。困ったときは法テラスなどの専門機関に相談するのも有効です。

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