オリジナル楽曲をYouTubeなどで公開したいけれど、盗作や無断使用のリスクが気になって踏み出せない――そんなクリエイターの悩みは少なくありません。特に、JASRACへの信託が条件未達でできない場合は、自衛の方法を知っておくことが重要です。この記事では、著作権を守りながら作品を発表するための具体的な方法をご紹介します。
JASRACに信託できないケースとは?
JASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)への信託は、著作権管理を委任する制度ですが、登録には条件があります。特に、第三者による演奏や放送、録音利用などの“使用実績”が求められる場合が多く、無名のアーティストや未発表の楽曲では登録が難しいのが現状です。
このような場合でも、著作権そのものは著作者が作品を創作した瞬間から自動的に発生しています。つまり登録していなくても、法律上の保護はすでに存在するのです。
著作権を自衛するためにできること
著作権侵害から作品を守るには、「自分が著作権者である」ことを後で証明できる状態にしておくことが重要です。そのために以下のような方法があります。
- タイムスタンプを付けて作品を保管する:クラウドストレージやGoogleドライブなどで日付付きの状態で保管する
- 内容証明郵便で自分に送る:自分宛に音源データや譜面を郵送し、開封せず保管
- ブロックチェーン著作権証明サービスを利用する:タイムスタンプの代替として利用されることもあります
いずれも“創作日時”を証明する目的です。盗用疑惑が発生したときの証拠になります。
YouTubeに安全にアップするには
YouTubeへの投稿に不安がある方は、以下のポイントを押さえたうえで公開しましょう。
- 作品の説明欄に「オリジナル楽曲」である旨を明記
- 概要欄に著作権表記(©)を記載:「© 2025 Your Name All Rights Reserved」など
- 映像内に“著作権表示”をビジュアルで組み込む(サムネイルやイントロに表示)
また、動画を非公開や限定公開にしておき、信頼できる相手との共有に限定するという方法もあります。
JASRAC以外の著作権管理団体の選択肢
JASRAC以外にも著作権を委託できる団体は複数存在します。
- NexTone(ネクストーン):特にインディーズやネット発の楽曲に強み
- 音楽出版会社に相談する:個別契約に応じてくれる場合もあります
それぞれの団体に特徴があるため、自分の活動スタイルに合った管理方法を選ぶことが重要です。
盗作のリスクを減らすための工夫
全てのリスクをゼロにすることは難しいですが、先回りして予防することは可能です。
- SoundCloudなどで“日付付き公開”をしておく
- ファンコミュニティやSNSで発表履歴を残す
- 公開後の反響やスクリーンショットを記録しておく
創作の「痕跡」を多く残すことが、万が一のときの“防御”になります。
まとめ:信託できなくても、著作権は守れる
JASRACに信託していなくても、著作権はすでにあなたに帰属しています。大切なのは、その証拠をいかに信頼性ある形で残しておくかという点です。
YouTubeやSNSなど、創作の場が広がる今だからこそ、リスクを恐れて埋もれさせるのではなく、適切な備えをしながら発表する勇気を持ちましょう。