交差点での右折時、対向車が右ウインカーを出していたために直進とは思わずに右折を始めてしまった――そんな状況は誰にでも起こりうるものです。この記事では、ウインカーの誤表示が事故の過失割合に与える影響や、判例、事故時の注意点について詳しく解説します。
片側1車線での右折・直進の判断ミスが起こる背景
片側1車線の信号付き交差点での対向車同士の右折・直進判断は、運転者の予測に委ねられがちです。特にウインカー表示が誤解を招く原因となることが多く、意思疎通の不十分さから事故に発展するケースもあります。
対向車が右ウインカーを出していると、どうしても「右折するのだろう」と思い込んでしまうのが人間の心理です。しかし、これはあくまで“推測”であり、明確な確認なしに動き出すのは危険です。
過失割合はどうなる?過去の判例に見る実際の判断
右折車と直進車の事故における基本的な過失割合は、「直進車2:右折車8」が一般的な出発点とされています。これは右折車が対向直進車の通行を妨げてはならないという道路交通法の原則に基づいています。
ただし、直進車に著しい過失があったと判断される場合は、過失割合が修正されることがあります。右ウインカーを出したまま直進した場合、「方向指示器の誤使用」として著しい過失とみなされ、5〜10%程度、直進車の過失が加算される可能性があります。
右ウインカーを出して直進した側の責任
方向指示器(ウインカー)は、道路交通法第53条により「進路変更や右左折時に適切に表示しなければならない」と定められています。したがって、意図と異なるウインカー表示は法的な落ち度になります。
このような表示ミスがあると、加害者としての責任が問われるだけでなく、事故の過失割合にも大きな影響を及ぼすことになります。過去にはウインカーの誤表示が認定され、過失割合が「直進3:右折7」とされた判例もあります。
事故を防ぐためにできること
まず最も大切なのは「ウインカーを過信しない」ことです。対向車が右ウインカーを出していても、必ず目視で相手の動きを確認し、完全に安全が確認できてから右折するように心がけましょう。
また、対向車が少しでも前進したり、ウインカーが点灯してから長時間そのままの状態である場合は、右折の意思がない可能性もあります。直感に頼らず、慎重な判断が事故防止に直結します。
事故が発生してしまった場合の対応
仮に接触事故が発生してしまった場合でも、ウインカーの使用状況やドラレコ映像などが証拠として残っていれば、保険会社や裁判所による過失割合の判断において有利に働く可能性があります。
そのためにも、普段からドライブレコーダーを設置し、信号待ちや交差点進入時の様子を記録しておくことは非常に有効です。
まとめ:思い込み運転は重大事故に繋がる
右ウインカーを出していたからといって、対向車が必ず右折するとは限りません。最終的に安全確認を怠った側に大きな責任が問われることになります。
「相手が右折するはず」という思い込み運転を避けるためにも、交差点では慎重すぎるほどの確認と判断を行うことが、自分を守る最大の手段です。