交通事故の被害に遭った場合、保険会社とのやり取りや紛争処理機関への相談など、提出書類の取り扱いが重要になります。特に「診断書」や「病院の領収書」の原本が必要なのかどうかで迷う方は少なくありません。この記事では、交通事故後の手続きにおいて原本の取り扱いがどうなるのか、実務上の対応も含めて詳しく解説します。
診断書や領収書の原本はなぜ必要とされるのか
交通事故の損害賠償請求において、診断書と医療費の領収書の原本は、被害内容や支出の事実を証明する重要な書類です。加害者側の保険会社は、支払いの裏付けとしてこれらの原本を確認したいと考えるのが通常です。
保険会社によっては、コピーやPDFデータでは受付不可とし、「必ず原本をご提出ください」と指示してくるケースもあります。これは、不正請求防止や支払い根拠の厳格化が背景にあります。
交通事故紛争処理センターへの提出も原本が原則
交通事故紛争処理センター(ADR)に相談・申立てを行う場合も、原本の提出が求められることがあります。特に損害の証明に関する資料は、原則として原本が望ましいとされています。
ただし、紛争処理センターでは一時的に原本を預け、手続き終了後に返却される運用もあります。事前にセンター側へ「コピーでは不可か?」「返却はされるのか?」を問い合わせておくのが安心です。
原本提出に不安がある場合の対処法
原本を失くすリスクや、後に別の機関でも使用する予定がある場合、原本を提出する前に必ずコピーを取って保管しておきましょう。できればカラーコピーやPDF化もしておくと安心です。
また、提出先が原本を求めてきた際には「返却してもらえるか」を明示的に確認しておくことが重要です。保険会社によっては返却の約束を明記することもあるため、提出前に交渉してみる価値があります。
実際のやり取り例:保険会社と紛争処理センターの違い
ある被害者の例では、保険会社には診断書の原本を提出し、その後紛争処理センターにも同じ書類を提出する必要がありました。ところが、原本が手元にないため、コピー提出で対応できるかどうかをセンターへ確認。結果、コピー+原本の提出先の控えや送付証明の提示により、柔軟に対応してもらえたそうです。
このように、原本が一か所にしかないことを説明すれば、例外的にコピーで通るケースもあります。先方と密に連絡を取りましょう。
まとめ:原本は基本必要だが相談・確認で柔軟対応も可能
交通事故における診断書や領収書は、保険請求や紛争解決のうえで原本提出が基本です。ただし、不安がある場合は事前に相手側(保険会社や紛争処理センター)に相談し、返却やコピー提出の可否を確認しましょう。
書類を提出する際は必ずコピーを残し、いつどこに提出したか記録をつけておくと、トラブル防止になります。