海外とのビジネスにおいて、「販売用の備品」や「展示品」などを持ち込むケースがあります。たとえ価格が0円であっても、税関への申告が必要なのか迷うことがあるでしょう。この記事では、販売を目的とした備品を持ち込む際の通関ルールや注意点を、具体的なケースを交えて解説します。
「販売用の備品」は課税対象になる可能性がある
税関では「販売を目的とした貨物」は商業貨物と見なされ、無償であっても課税対象になる可能性があります。つまり、値段が「0円」だからといって免除されるわけではなく、持ち込む目的や内容に応じた通関手続きが求められます。
たとえば、展示会で配布予定のパンフレットや販促用サンプルなども、販売促進を目的としていれば通関時に説明が必要です。
「無償」と「非課税」は異なるもの
よく混同されがちですが、「無償で持ち込む」=「税金がかからない」とは限りません。税関は金額の有無よりも、持ち込みの目的と使用形態を重視します。
たとえば以下のようなケースでは、無償でも税関への申告が必要となります。
- 見本品やサンプル品(販売促進目的)
- 販売予定商品の試供品
- 業務に用いる広告備品・展示物
「一時持ち込み」の制度を活用する方法
税関には「一時持ち込み貨物(Temporary Admission)」という制度があります。これは、一定期間内に持ち帰る予定の物品を無税または軽減税で一時的に通関できる仕組みです。
この制度を活用することで、たとえ高価な備品を持ち込む場合でも申告手続きと誓約書によりスムーズな処理が可能です。出展企業や法人担当者は、事前に税関や通関業者に確認しておくと安心です。
実際の申告方法と必要な書類
税関での申告には、貨物の明細書(インボイス)、梱包明細書(パッキングリスト)、用途を説明するカバーレターなどが求められます。
インボイスの価格が「0円」の場合でも、「参考価格」や「本来の市価」を記載することが求められる場合があります。これは輸入統計や課税評価の基準とするためで、虚偽の申告は罰則の対象になる可能性があります。
通関業者を通じたスムーズな処理も検討を
国際輸送に不慣れな場合は、通関業者(フォワーダー)を通じて手続きを行うのが一般的です。通関業者は税関との交渉や書類作成を代行し、適切な手続きをサポートしてくれます。
特にイベントや展示会で物品を一括して持ち込む場合、輸送業者がまとめて通関手続きを行う「カーネ制度」なども選択肢になります。
まとめ:販売用備品は価格にかかわらず税関申告が原則
販売用の備品は「0円」として持ち込む場合でも、税関に申告する必要があるのが原則です。申告を怠った場合は、没収・罰則・遅延などのトラブルにつながる可能性もあります。
正確な情報と書類を用意し、必要に応じて専門業者と連携することで、スムーズな国際ビジネスを進めましょう。