交通事故に遭った際、加害者側の保険会社が手配してくれる修理工場に任せるか、それとも自分の信頼するディーラーに修理を依頼するかで迷う方は多いです。実は、修理工場の選定は被害者自身が自由に決められる権利があるのをご存知でしょうか?この記事では、その根拠や注意点、具体的な交渉方法までを詳しく解説します。
修理工場の選定権は被害者にある
まず大前提として、交通事故の修理に関してどの修理工場に依頼するかは被害者の自由です。保険会社が手配してくれる提携工場を利用する必要はありません。ディーラーや馴染みの整備工場でも問題ありません。
これは民法上の損害賠償請求権に基づくもので、損害の回復方法として信頼できる修理業者を選ぶことが認められています。
保険会社が指定工場をすすめる理由
多くの保険会社は提携する修理工場をすすめてきます。その主な理由は以下の通りです。
- コスト管理がしやすい
- 工期の把握が可能
- 補償範囲内で対応できる
しかしこれは保険会社側の都合であり、被害者にとって最適とは限りません。とくに輸入車や高級車の場合、専門のディーラーでなければ対応が難しいこともあります。
ディーラーを選ぶ際の注意点
ディーラー修理を希望する場合には以下の点を注意しましょう。
- 修理費用が保険会社の見積もりより高くなる可能性がある
- 差額が生じた場合、自己負担になる可能性がある
- 事前に保険会社と見積内容を共有・交渉することが重要
たとえば、純正パーツを使った修理を希望する場合は、一般的な修理工場よりも割高になります。その分、保険会社が認める「合理的な修理費用」を超える金額は、自身で負担することになるかもしれません。
交渉のポイント:スムーズに進めるには
希望する修理工場での修理を実現するには、以下のような手順がおすすめです。
- 保険会社に「○○ディーラーで修理を希望する」と明確に伝える
- ディーラーに修理見積書を作成してもらい、保険会社へ提出
- 保険会社が見積もりに難色を示したら、修理の必要性をディーラーに説明してもらう
ディーラーによっては保険会社とのやり取りに慣れている場合もあり、円滑に進むことも少なくありません。
実例紹介:ディーラー指定に成功したケース
40代男性が加害車両に追突され、保険会社から提携修理工場を勧められました。しかし本人は10年来付き合いのあるディーラーでの修理を希望。見積もりを取得して保険会社に提出し、「これまでの整備履歴と信頼性を重視したい」と主張したところ、最終的にディーラーでの修理が認められました。
まとめ:修理工場は「選べる」ことを忘れずに
✔ 修理工場の選定は被害者の権利
✔ 保険会社に遠慮せず、希望をはっきり伝える
✔ 見積もりは交渉の重要な材料。早めに取得を
✔ 必要であれば、弁護士や交通事故相談窓口の利用も視野に
事故後は精神的に疲弊してしまいがちですが、大切な愛車の修理だからこそ、納得のいく形で進めることが後悔しないための第一歩です。