交通事故の後遺障害診断書が届くタイミングと自賠責・損保対応の現実

交通事故により負傷し、通院を続けている方にとって、損害保険会社からの対応や後遺障害診断書の提出依頼は大きな転機になります。「もう治らないと見なされて打ち切られるのでは?」という不安を感じる方も少なくありません。本記事では、後遺障害に関する診断書が届く時期や、損保・自賠責保険の関係、さらに納得のいく補償を受けるための流れについて解説します。

後遺障害診断書が届くまでの一般的な期間

交通事故の治療が長引いた場合、事故から3ヶ月〜6ヶ月程度を目処に、保険会社から「症状固定」の判断を促されることがあります。この症状固定とは、これ以上治療を続けても著しい改善が見込めないと医師が判断した状態を指します。

この段階で、損保会社は「後遺障害診断書の提出」を求めてくるのが一般的です。ただし、個々の症状や経過によって時期は前後するため、通院が長期にわたるほど早めにこの話が出る傾向にあります。

損害保険と自賠責保険の違いと補償の流れ

交通事故における補償には2種類あり、自賠責保険(強制)任意保険(損害保険)に分かれます。自賠責保険は人身事故に対する最低限の補償であり、治療費・通院慰謝料・休業損害などが支払われます。上限は原則120万円までです。

それを超えた損害は任意保険(損害保険)から支払われることになります。後遺障害が認定された場合は、等級に応じて「後遺障害慰謝料」「逸失利益」が支給され、まずは自賠責から、次に損保が補填する仕組みになっています。

後遺障害の認定を受けるまでの流れ

症状固定と診断されたら、病院で「後遺障害診断書」を作成してもらい、損保会社経由または自賠責保険に直接提出します(被害者請求も可能)。その後、自賠責損害調査事務所により書面審査が行われ、等級が決定されます(非該当のことも)。

たとえば、ヘルニアによる神経症状の残存などが「神経障害」として後遺障害等級14級9号などに該当する可能性がありますが、事故との因果関係や画像所見が求められるため、医師の意見書や画像診断の記録が極めて重要です。

保険会社からの連絡が不安な場合の対処法

保険会社からの電話で「ヘルニアはもともとあったのでは?」といった質問が来ると、心理的に不安になります。これは事故と症状の因果関係を確認するための“聞き取り”ですが、あくまで医師の診断と証拠書類が評価対象になります。

不安が大きい場合は、法テラスや各地の交通事故専門の弁護士相談などを活用し、中立の立場からアドバイスを受けることをおすすめします。

治療費の不安と支払い打ち切りリスク

事故から時間が経過するにつれ、「治療費の支払いは今月まで」というような打診がある場合もあります。この場合、症状固定を前提とした補償段階へ移行する意思表示であることが多いため、主治医にその可否を相談し、診断書を基に保険会社と交渉することが大切です。

また、医療費の自己負担が重くなった場合、自賠責の範囲内で支給を受ける「被害者請求」も可能ですので、国交省の自賠責請求案内も確認しておきましょう。

まとめ:事故後の補償は「準備と理解」がカギ

交通事故による後遺障害や症状固定の対応は、被害者にとって心身ともに大きな負担となります。しかし、保険制度の仕組みと医師の意見を味方に付けることで、適切な補償を受けることが可能です。

不安な連絡や制度の複雑さに悩む前に、記録と証拠を整理し、専門機関に早めに相談する姿勢が将来の安心に繋がります。

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