事故車修理で高額請求?自社工場の修理と請求の妥当性を考える

交通事故後の修理費用に関して、相手側が自社工場で部品交換を行い高額な請求をしてきたケースは珍しくありません。軽微な傷でも「正規修理」と称して大規模修理が行われることがあり、「本当に妥当なのか?」「不当な利益では?」と疑問に感じる被害者も多いのが実情です。本記事では、自社工場での修理とその請求の妥当性について、交通事故の損害賠償の観点から詳しく解説します。

軽微な損傷でも高額修理になるケースとは?

車の修理には「補修(再塗装)」と「部品交換」があります。たとえば、バンパーの擦り傷程度であっても、メーカー指定の修理ガイドラインに従えば部品交換が推奨されることもあります。これが原因で、見た目は軽微な損傷でも請求額が数万円から十数万円に跳ね上がることもあるのです。

たとえば、塗装費だけなら3万円程度で済むところ、交換になると新品部品+工賃で13万円ということもあります。販売店が自社工場を使うことで利益が発生するのは事実ですが、それが違法とは限りません。

損害賠償としての修理費はどこまで認められるのか?

日本の交通事故における損害賠償は、実際に発生した損害に対して「社会通念上相当な金額」であれば請求が認められます。高額修理であっても、正規ディーラーでの標準修理であれば、不当とまでは言えないことがほとんどです。

ただし、同様の修理を他の工場でより安価に済ませられることが明白な場合、請求された金額に対して異議を唱える余地もあります。過去には、裁判所が「過剰な修理費は損害とは言えない」と判断した判例もあります。

相手側が自社工場で修理し利益を得るのは違法?

自社工場で修理を行い利益を得ること自体は違法ではありません。むしろ、正規ディーラーが自社ルートで修理するのは通常の商慣行です。ただし、「本来不要な交換」や「過剰な部品使用」が行われていた場合には、不当利得に該当する可能性があるため、請求内容を精査する価値はあります。

たとえば、板金や部分塗装で十分だった箇所を丸ごとパーツ交換していたり、経年車に新品を使っていた場合などは、修理費の妥当性が問われる可能性があります。

保険会社の判断は常に妥当とは限らない

保険会社が「支払いOK」と言っているからといって、それが常に適切とは限りません。今回のように、相手の保険会社の負担率が低い(30%)場合、自腹分を抑えたいがためにあまり精査せず認めてしまうこともあります。

そのため、保険会社の判断に納得がいかない場合には、自ら示談交渉を見直すか、弁護士や第三者機関(交通事故紛争処理センター等)に相談することをおすすめします。

納得のいかない請求にはどう対応すべきか?

請求金額に疑問がある場合は、相手修理明細を入手し、第三者の整備士やディーラーに妥当性を確認してもらうのが効果的です。特に事故過失割合がある場合、自己負担分に直結するため慎重な対応が必要です。

また、明らかに不当な請求と判断されれば、異議申し立てや裁判で争うことも可能です。その際、修理前後の写真や診断書などの記録を手元に保管しておくことが重要です。

まとめ:納得できる修理請求には「透明性と確認」が不可欠

事故後の修理費用請求は、双方にとって納得のいく内容であるべきです。正規工場での修理は不当とは言えませんが、請求が妥当かどうかは「費用内容の透明性」と「市場相場」との照らし合わせで判断されます。

疑問を感じたら、そのまま了承せずに専門家のアドバイスを受けるなど、一歩踏み込んだ確認と交渉が、不要な出費を防ぐ鍵となります。

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