親が高齢になると、経済的な判断能力の低下により、借金や契約トラブルに巻き込まれるケースが少なくありません。特に、家族に隠れて知人に頼まれて借金をするケースや、第三者から誤った情報を吹き込まれている可能性がある場合は注意が必要です。この記事では、80代後半の両親の借金問題に直面したときに、何から始めて、どこに相談すべきかを実践的に解説します。
まずは借金の有無と契約内容を確認する
本人が借金を否定していたり、内容を明かそうとしない場合でも、家族が調べる方法はあります。まず確認すべきは以下の3つです。
- 自宅に届いている請求書や督促状がないか確認する
- 通帳の引き落とし履歴に金融機関名がないかチェック
- 本人の信用情報(借入履歴)を調べる
信用情報の開示請求は、CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センターの3機関で行うことができます。本人名義の借金かどうかを特定できます。
「知人に頼まれて借りた」は名義貸しや詐欺のリスク
高齢者に対して「借金は自分が返すから名義だけ貸して」と依頼するケースは、いわゆる名義貸しに該当し、詐欺や犯罪の温床となることもあります。過払い金や弁護士の話を持ち出して正当性を主張する場合もありますが、裏付けがない限りは信用しない方が安全です。
実際、弁護士名を騙った詐欺事件も存在します。まずはその「弁護士」の所属を日本弁護士連合会の弁護士検索などで確認しましょう。
すぐに相談すべき専門機関
状況が不透明な場合は、以下の公的機関へ相談することをおすすめします。
- 市区町村の消費生活センター:高齢者トラブルの対応に強く、名義貸しや詐欺の可能性についても相談できます。
- 法テラス:借金問題や成年後見人制度の活用など、法的にできる対策を無料でアドバイスしてくれます。
- 地域包括支援センター:高齢者福祉の窓口として、認知機能の問題なども含めたサポートを提供しています。
また、弁護士の初回相談は30分無料という場合も多いため、借金が事実なら早めに専門家を通じて交渉を進めるのが得策です。
家族が確認・管理できる体制を整える
今後も同じようなトラブルを避けるために、本人の同意を得た上で「任意後見契約」や「財産管理委任契約」の活用を検討しましょう。これにより、子が親の名義で借金をされたり、不要な契約を結ばれたりするリスクを減らせます。
また、定期的な通帳・カードのチェック、郵便物の管理、電話営業への対応など、家庭内でのサポート体制も重要です。
まとめ:家族の関与が高齢者の借金トラブル回避のカギ
高齢の親の借金が発覚したときは、まず事実確認を丁寧に行い、信用情報の開示や書類の確認を通じて状況を整理しましょう。そのうえで、消費生活センターや法テラスに相談し、詐欺や名義貸しなどの可能性を慎重に検討します。本人が聞き入れない場合も、家族としてできる法的対応や支援制度を早めに検討し、安全な生活を守るための一歩を踏み出しましょう。