店舗における盗撮被害は年々巧妙化しており、スマートフォンの普及によって日常的に起き得る問題となっています。特に女性スタッフの多い現場では、万が一にもプライバシー侵害が起こらぬよう、事前の対応やトラブル時の対処法を把握しておくことが重要です。
スマホによる不審行動の見分け方
近年多く報告されているのが、スマートフォンを胸ポケットに入れたまま女性店員に向けて接近し、動画や写真を撮影するという手口です。録画中の画面がわずかに見えていたり、レンズ部分が胸ポケットの縁から出ているなど、いくつかの特徴があります。
たとえば、カメラレンズがポケットから顔を出している状態や、スマホが常にレンズを特定の方向に向けて保持されているケースは、明らかな不審行動と捉えられます。
声かけ・注意のポイントと注意喚起の工夫
直接「盗撮ですか？」と断定的に声をかけるのは、名誉毀損やトラブルの原因となる可能性があるため避けましょう。「お客様、胸ポケットのスマホがカメラのように見えますので、誤解を避けるためにカバンなどにしまっていただけますか？」とやんわり注意するのが適切です。
また、店内の目立つ位置に「スマートフォンでの撮影はご遠慮ください」「従業員への無断撮影はお断りします」などの注意喚起ポスターやステッカーを掲示するのも効果的です。
証拠の確保と被害記録の残し方
不審な行動を目撃した際は、店内の防犯カメラ映像を保存し、日時と内容を記録した業務報告書などを作成しておきましょう。後からスタッフや警察が確認するためにも、証拠の保全が重要です。
また、店員個人ではなく、責任者や管理職が対応する体制を整えておくことで、現場の混乱を避けられます。
警察への相談と法的対応の可能性
盗撮は刑法上の「迷惑防止条例違反」または「軽犯罪法違反」に該当する場合があります。明確な撮影行為があった、または従業員が不快感を訴えている場合は、ためらわずに警察へ相談しましょう。
証拠があれば立件される可能性もあります。被害を拡大させないためにも、被害届の提出や相談記録を残すことが大切です。
従業員を守るための職場環境づくり
店舗全体での防止策も重要です。従業員には不審行動に気づいた際の対応マニュアルを配布し、定期的な研修やロールプレイなどで対応スキルを高めましょう。
また、スタッフが安心して働けるように、被害の報告がしやすい環境づくりや、プライバシーを守る工夫（制服の見直しや業務配置の配慮）も必要です。
まとめ：毅然とした姿勢と組織的な対応がカギ
盗撮は決して見過ごしてよい行為ではありません。個人で抱え込まず、店舗全体でのルール化と組織的な対応が被害防止の第一歩となります。万が一に備えた対応を整えて、従業員の安全とプライバシーを守る意識を持ちましょう。