交通事故の処理において、警察が作成する実況見分調書や事故報告書は、裁判でも重要な資料として扱われます。しかし、これらの文書に不自然な日付変更や記載ミスがある場合、それが故意か過失かによって扱いが大きく変わってきます。この記事では、事故処理日付の改ざんとそれが裁判の証拠としてどのように影響するかを解説します。
警察官による事故処理記録の改ざんとは
事故後の処理には「実況見分調書」「事故報告書」「供述調書」などの書類が用いられます。これらは事故の日時や状況、当事者の供述などを記録するもので、捜査資料でありながら、後の民事・刑事裁判で重要な役割を果たします。
万一、警察官が事故の日付を実際とは異なる日付で記載した場合、それが意図的であれば「公文書虚偽作成罪」に該当する可能性もあり、重大な問題となります。
裁判における証拠力への影響
事故記録に不自然な日付の変更があったとしても、その一点だけで裁判が即座に覆るわけではありません。しかし、当事者がその変更が「事実と異なる」ことを主張し、客観的な証拠(写真・ドライブレコーダー・当日の病院記録など)とともに提出できれば、裁判官の判断材料として大きな意味を持ちます。
また、警察の書類内容と実際の出来事に食い違いがある場合には、民事訴訟において信用性が低い証拠と判断される可能性があります。
記録改ざんが疑われる場合の対処法
もし警察が作成した記録に違和感がある場合は、以下のような対応をとることが大切です。
- 弁護士に相談:法的判断が求められるため、速やかに法律専門家に相談しましょう。
- 証拠保全:当時の状況を示す物的証拠(写真・動画・診断書など)を整理し、可能な限り日付の裏付けを取る。
- 情報開示請求:警察が作成した書類の開示を求めることで、記録の正確性を確認することができます。
たとえば、事故当日に病院で診察を受けた記録があれば、「事故は前日ではなく当日である」ことを客観的に裏付ける材料になります。
実際の裁判での例と証拠採用の傾向
過去の判例でも、警察の報告書に不備があったケースで、当事者が提出したドラレコ映像や第三者の証言が有力な証拠とされた例があります。つまり、警察の記録が絶対ではなく、矛盾や疑義があれば、それを覆す材料を提出することで有利に働く可能性があります。
また、事故の記録に修正があったとしても、警察官の説明が合理的であれば裁判所がそれを許容することもあります。そのため、改ざんかどうかの意図や背景が大きく影響します。
まとめ:不自然な記録は無視せず、証拠の整理を
警察による事故処理記録の日付改ざんが疑われる場合でも、それを証明できる資料があれば裁判では十分に証拠として扱われる可能性があります。記録の不整合を感じたら、弁護士と連携しつつ、自分で集められる証拠を早めに用意しておくことが重要です。何よりも、自らの主張を裏付ける客観的な材料が鍵となる点を忘れないようにしましょう。