NHK受信料については、支払っていない世帯も少なくないと言われています。しかし、実際に法律上どのような義務があり、未払いによってどのようなリスクが生じるのか、あまり知られていません。本記事では、NHK受信料に関する法的な位置づけと、支払わなかった場合の影響について詳しく解説します。
NHK受信料は義務?放送法の基本を知ろう
NHK受信料の根拠となるのは、放送法第64条です。この法律には、テレビやチューナー機能を持つ機器を設置した者は、NHKと受信契約を締結しなければならないと規定されています。
つまり、受信機器(テレビ、録画機、カーナビ、ワンセグ付きスマホなど)を所持している限り、契約義務が生じるというのが法的な立場です。契約したうえで受信料を支払う義務が生じるという構造です。
支払っていない場合の法的リスクは?
受信契約を結んでいない、もしくは契約後に未払いとなっている場合、NHKが民事訴訟を提起してくることがあります。実際に、最高裁判決(平成29年)では、「契約を締結すべき義務がある」とされ、未契約者にも契約を強制できるとの判断が示されました。
また、未契約または未払いが長期間にわたると、過去に遡って受信料を請求される可能性があります。時効は基本的に5年ですが、それ以前の分も請求されることがあります。
刑事罰はあるのか?罰金などの対象になる?
結論から言うと、NHK受信料の未払いに刑事罰はありません。つまり、支払っていないからといって逮捕や罰金刑に問われることはありません。
ただし、先述のとおり民事訴訟により支払いを求められた場合、裁判所からの支払命令を無視すると、財産の差し押さえなどが生じる可能性もあります。
受信料を回避する方法はある?
NHK受信料を支払わないためには、受信機器を設置しないという選択が基本です。テレビを所有していないことが確認できれば、契約の義務は発生しません。ワンセグ付きのスマホや車載ナビにも注意が必要です。
また、NHKの受信契約を解除したい場合は、受信設備の撤去などを証明する書類(テレビのリサイクル証明など)の提出が必要です。
裁判例と支払命令の実例
過去には、東京都在住の未契約者に対し、NHKが契約締結と過去の受信料支払いを求めて勝訴した例があります。このように、裁判所は「受信機の設置=契約義務あり」と明確に認定する傾向があります。
さらに、契約済みで支払いを滞っていたケースでも、訴訟の結果、数十万円以上の支払い命令が下された例もあります。
まとめ:NHK受信料を払わないリスクと今後の対応
NHK受信料には放送法に基づく契約義務があり、受信機器を設置している限り支払いの責任が生じます。支払わなかった場合には、刑事罰はないものの民事訴訟に発展するリスクがあります。今後、テレビ離れが進む中で制度の見直しも議論されていますが、現行制度のもとでは、法的リスクを回避するには契約・支払いを行うか、受信機を保有しないという選択が必要です。