企業のオフィスリニューアルやレイアウト変更に伴って、古い机や椅子などのオフィス家具を撤去・処分する機会は少なくありません。しかし、その処分方法によっては、法律に違反してしまう可能性があることをご存じでしょうか?この記事では、産業廃棄物処理に関する法律と、実務上の適切な対応について詳しく解説します。
オフィス家具の処分は「産業廃棄物」か?
企業活動から生じる不要な机や椅子は、原則として「産業廃棄物」に分類されます。特に、企業や法人が排出する使用済み家具類は「事業系一般廃棄物」または「産業廃棄物」に該当し、自治体が回収する家庭ごみとは異なるルールが適用されます。
例えば、オフィス用のスチール製デスクやキャビネットなどは、金属くずとして産業廃棄物と見なされることが一般的です。
産業廃棄物の運搬には許可が必要
産業廃棄物を運搬するには「産業廃棄物収集運搬業許可」が必要です。これは廃棄物処理法に基づき、無許可の運搬は処罰の対象となります。
たとえ運搬の対価を受け取っていなかったとしても、自社で家具を引き取り処分場まで運ぶ行為自体が違法となる可能性があります。
許可を持たない業者が行うと違法?
産業廃棄物運搬の許可を持たないオフィス家具販売業者が、納品時に古い家具を回収していた場合、「無許可営業」と見なされ、罰則を受けるリスクがあります。実際、過去にも無許可運搬で摘発されたケースが報道されています。
法律違反とならないよう、家具の回収・廃棄は下請けで適法な許可業者に依頼するか、廃棄物処理の委託契約を明確に交わして対応する必要があります。
合法的に処分するにはどうすればいい?
- 処分は「産業廃棄物収集運搬業者」へ委託
- 「マニフェスト(管理票)」の交付を受ける
- 契約書で処理委託の範囲・責任を明確に
これらの措置を講じることで、企業としての法的リスクを回避することができます。
廃棄ではなくリユース・リサイクルも有効
まだ使用可能なオフィス家具は、廃棄ではなく中古市場やリユース事業者への販売・寄付という方法も選択肢になります。これにより廃棄コストを削減できる上、環境負荷の軽減にもつながります。
近年では、オフィス家具の買取サービスや再資源化ルートも整備されているため、有効活用の手段として検討する価値があります。
まとめ:家具の処分には法的ルールを守ることが重要
企業が排出するオフィス家具は、基本的に産業廃棄物とみなされるため、運搬や処分には専門の許可が必要です。違法となるリスクを避けるには、必ず許可を持つ業者と連携し、マニフェストを通じて適切に管理しましょう。
また、リユースやリサイクルといった選択肢も検討しつつ、法令を遵守した持続可能な廃棄物管理を実現することが、企業の社会的責任にもつながります。