盗撮犯を撮影したら自分が罪に問われる?正当防衛と証拠収集の法律的な境界線とは

盗撮被害が深刻化する中で、「盗撮犯を自分で証拠として撮影してもいいのか?」という疑問を持つ人が増えています。この記事では、法律の観点からその行為が許されるケース、逆に自分が罪に問われる可能性がある状況などを詳しく解説します。

盗撮とはどのような行為を指すのか

日本の法律では、「盗撮」は都道府県の迷惑防止条例や、軽犯罪法などに基づいて処罰されることが多いです。主に「衣服の下にカメラを差し入れる」「望遠や隠しカメラを使って無断撮影する」などの行為が該当します。

ポイントは「相手の承諾なく」「性的羞恥心を害する目的で」「撮影される可能性がある」という条件が重なることです。

盗撮犯を撮影するのは合法なのか

結論から言えば、違法とは限りませんが、場合によってはあなた自身が罪に問われる可能性もあります。相手を撮影する際、次の点が重要です。

  • 撮影対象が「公の場所にいる」か
  • 「個人が特定できるレベル」で撮影したか
  • 「何の目的で撮影したか」
  • 「撮影したデータをどう扱ったか」

証拠として警察に提供する目的であれば、正当行為とみなされる可能性が高いですが、ネットにアップする・拡散するなどの行為は名誉毀損やプライバシー侵害に該当します。

刑法上の正当防衛・緊急避難との関係

刑法第36条では、「急迫不正の侵害」に対しては正当防衛が成立するとされています。盗撮は明確な違法行為ですので、それを止める・証拠を残す目的で撮影することは、正当行為として違法性が阻却される場合があります。

ただし、過剰防衛(必要以上の行動)と判断されれば違法行為となる可能性もあり、判断は状況によります。

実際のトラブル事例と判例

過去には、駅のホームで盗撮犯を撮影した人が「証拠映像」として警察に提出し、犯人が逮捕・起訴された事例もあります。このような場合、撮影者が処罰されることはありませんでした。

一方で、盗撮犯とされる人物の顔写真をSNSで晒し、逆に名誉毀損や肖像権侵害で訴えられた例もあります。「正義感」だけでは法的に守られないケースもあることを理解しておく必要があります。

適切な対処法:証拠を撮る際の注意点

  • 顔全体より、服装や手元など「盗撮行為を裏付ける部分」を撮影
  • 可能ならば第三者(駅員・警備員)にすぐに知らせる
  • 撮影したデータはSNS等で共有せず、警察のみに提供

冷静に状況を記録し、証拠として警察に提出することで、自身のリスクも抑えることができます。

まとめ:盗撮犯を撮ってもよいが「公開しない」が鉄則

盗撮犯の証拠撮影は、正当な目的と方法であれば違法にはなりません。ただし、「個人の特定が可能」「撮影の目的が拡散」である場合、自分が訴えられるリスクがある点には要注意です。

迷った場合は、すぐに警察へ相談し、行動は慎重にすることが大切です。

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