自動車を運転中に発生した人身事故は、行政処分として違反点数が科されるだけでなく、刑事責任や民事責任が問われる重大な事案です。特に、車対車の人身事故においては、加害者となった場合に最低でも何点の違反点数が科されるのか、交通違反歴に敏感なドライバーにとっては気になるポイントです。本記事では、点数制度の概要と人身事故における具体的な最低点数について、わかりやすく解説します。
交通違反点数制度の基礎知識
道路交通法に基づく違反点数制度では、違反や事故の種類・程度に応じて点数が定められ、累積によって免許停止・取消などの処分が行われます。点数は事故の結果や違反内容によって自動的に付され、軽微な違反でも人身事故が関与すれば点数が大きくなる傾向にあります。
特に、人身事故は「行政処分の対象」となりやすく、たとえ軽傷であっても無傷の物損事故と比べて重く扱われます。
人身事故における違反点数の基本構成
人身事故の点数は、次のように構成されます。
- 安全運転義務違反:2点(基本)
- 事故加点:被害者の負傷内容に応じて1点~25点以上
つまり、軽微な過失であっても「2点(義務違反)+1点(軽傷事故)」で最低3点からの加点がなされることになります。
加算点数の詳細:傷害の程度による違い
人身事故による加算点数は、被害者のケガの内容に応じて変わります。具体的には以下のようになります。
負傷内容 | 加点(事故加点) |
---|---|
治療1日以上15日未満(軽傷) | 1点 |
治療15日以上30日未満 | 3点 |
治療30日以上、軽快 | 6点 |
治療30日以上、後遺障害なし | 9点 |
後遺障害あり(軽度) | 13点 |
重度障害・死亡 | 20~25点以上 |
つまり、車対車の人身事故で軽い擦過傷などの事案であれば、「安全運転義務違反の2点+軽傷1点=合計3点」が最小の点数です。
違反がない場合でも点数が付くのか?
意外に思われるかもしれませんが、違反が認定されなければ点数が付かないケースもあります。たとえば、客観的に見て避けられない状況で事故が発生したと判断されれば、安全運転義務違反が不成立となり、点数が付かない可能性もあるのです。
とはいえ、人身事故が発生した場合には、原則として何らかの運転義務違反が認められるケースが多く、加点が0点で済むことは極めてまれです。
実例:実際にあったケーススタディ
以下は実際に警察からの行政処分で出された点数の一例です。
- 信号無視による人身事故:信号無視2点+安全運転義務違反2点+事故加点(中等傷害)3点=合計7点
- 追突事故で被害者が打撲:安全運転義務違反2点+事故加点1点=合計3点
- 歩行者との接触で治療30日:安全運転義務違反2点+事故加点6点=合計8点
このように、安全運転義務違反を軸に事故加点が積算されることで、点数の総量が決まる仕組みとなっています。
まとめ:車対車の人身事故の最低点数は3点が原則
車対車の人身事故において、安全運転義務違反(2点)+事故による軽傷(1点)=最低3点が基本的な処分点数となります。
ただし、事故の態様や責任割合、被害者の怪我の程度によって加算点数は大きく変動します。事故後は、警察からの説明をしっかりと聞き、処分通知書の内容に不明点があれば早めに専門家へ相談することが重要です。