相続が発生したとき、まず気になるのが故人の銀行預金の取り扱いです。特に相続人が1人の場合、手続きは比較的シンプルになりますが、それでも注意すべき点や必要な書類は多く存在します。本記事では、口座凍結から相続人の口座への入金までの流れと期間、さらにスムーズに進めるためのポイントを解説します。
銀行口座は死亡届受理後に凍結される
預金口座は、金融機関が名義人の死亡を把握した時点で凍結されます。死亡届が役所に提出された後、銀行に通知されることはありませんが、親族などからの連絡や新聞のお悔やみ欄、行政手続きなどで銀行が把握することがあります。
一度口座が凍結されると、相続手続きが完了するまで引き出しや振込が一切できなくなります。これは、不正な引き出しや相続トラブルを防ぐための措置です。
相続人が1人の場合のメリットと手続きの簡略化
相続人が1人である場合、遺産分割協議書を作成する必要がなく、戸籍の収集と相続関係の証明書類さえ揃えれば比較的スムーズに手続きが進みます。
例えば、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本と相続人の戸籍謄本、印鑑証明書、通帳・キャッシュカード、そして銀行所定の「相続手続依頼書」などが必要です。
入金までにかかる期間の目安
書類に不備がなければ、提出からおおよそ2週間〜1か月で相続人の銀行口座に入金されるのが一般的です。ただし、金融機関や相続財産の内容、混雑具合により多少前後することがあります。
特にメガバンクなどは手続きがやや煩雑で、地方銀行や信用金庫のほうが融通が利くケースもあります。
相続手続きをスムーズに進めるコツ
戸籍謄本の取得は時間がかかるため、早めに準備しておくことが肝心です。戸籍は本籍地での取得が必要な場合があり、郵送請求になることも多いので注意しましょう。
また、銀行の相続手続き専用窓口やオンライン申請サービスを利用することで、来店不要で手続きが完了できることもあります。事前に金融機関のウェブサイトで確認しておくのがおすすめです。
相続税の有無も確認しておこう
相続人が1人であっても、相続財産の総額が基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合、相続税が発生する可能性があります。今回のように相続人が1人の場合は3600万円が基準です。
課税対象になる場合は、税務署への申告が必要ですので、必要に応じて税理士に相談することをおすすめします。
まとめ:事前準備と書類の正確性がスムーズな相続のカギ
相続人が1人の場合の預金相続は、必要書類を正しく揃えれば比較的短期間で完了することが多いです。概ね2週間〜1か月程度で入金されることが一般的ですが、銀行によって多少の差があります。
戸籍収集や印鑑証明などの準備は時間がかかるため、早めの行動を心がけましょう。疑問がある場合は、銀行の相続相談窓口や専門家に相談することも安心につながります。