生活保護を受けながら働くこと自体は可能ですが、その収入を正しく申告せずに隠した場合、「不正受給」となり、法律違反として重大な責任を問われることになります。とくにウーバーイーツなどのギグワーク収入を旧姓の口座に入金するなどして意図的に隠した場合、どのような罪に問われるのか、どんな処分を受ける可能性があるのかを詳しく解説します。
生活保護と収入申告の基本ルール
生活保護法では、働いて得た収入(給与・副業収入・ギグワークなど)は、すべて福祉事務所に報告義務があります。報告された収入に応じて、生活保護費は減額または一部支給停止される仕組みです。
報告を怠った場合、意図的かどうかにかかわらず「収入の未申告」として扱われ、結果として不正受給と判断される可能性が高くなります。
旧姓口座を利用しての収入隠しは重大な違反
ウーバーなどの報酬を旧姓名義の口座に振り込ませ、収入を隠す行為は、意図的な資産隠匿とみなされやすく、通常の未申告よりも悪質と判断されるケースが多いです。
このような行為が発覚した場合、福祉事務所による事実確認、弁明の機会を経て、過去に遡って支給額の返還を命じられます。また、刑事事件として警察へ通報される可能性もあります。
実際にありうる処分と罪の重さ
生活保護法第78条では、不正受給に対しては支給打ち切り・返還命令・過料・刑事告発が規定されています。刑法上では、詐欺罪(刑法246条)に該当する場合、「10年以下の懲役」に処せられることもあります。
実例として、不正受給額が数十万円〜数百万円に達した場合、逮捕や書類送検される事例もあり、在宅で調書作成に呼び出されるケースも多く報告されています。
過去の判例・報道に見る処分例
・2021年:東京都内で女性がフリマアプリでの収入を隠し、約80万円を不正受給 → 書類送検
・2019年:大阪市で男性がアルバイト収入を親族名義の口座に入金し、200万円超を不正受給 → 詐欺罪で起訴、懲役2年執行猶予付き判決
いずれのケースも、意図的な隠蔽や偽名義の使用が重く見られていることが特徴です。
不正にならないためのポイント
・副業・バイト・ギグワークなどの収入は、すべて速やかに福祉事務所へ申告
・他人名義や旧姓口座の使用は避ける(故意性が疑われます)
・迷ったときは事前にケースワーカーに相談し、記録に残す
少額だからといって軽視せず、正確な申告を行うことが、生活保護制度の継続利用には欠かせません。
まとめ
生活保護を受けながらの就労は認められていますが、収入を旧姓の口座などで隠した場合、それは不正受給とされ、最悪の場合、詐欺罪で逮捕・起訴されるリスクがあります。
申告は義務であり、金額の大小にかかわらず、「収入を隠す意思」があると判断されれば重大な法的責任が生じます。疑問がある場合は自己判断せず、福祉事務所や弁護士などの専門機関に相談しましょう。