ライブ配信事務所からのスカウトやオファーを受ける中で、書面契約を交わしていないにも関わらず「契約は成立しています」と言われるケースがあります。とくにLINE通話やDMなどオンライン上でのやり取りが主流となる昨今、「口頭契約」の有効性や、キャンセル時の違約金リスクについて知っておくことはとても重要です。
口頭契約は成立するのか?法律的な観点からの解説
日本の民法上、契約は書面がなくても、当事者間の合意があれば成立するとされています。これを「諾成契約」といい、口頭でもLINEのメッセージでも、契約としての効力があるとみなされる場合があります。
ただし、有効とされるには以下の要素が必要です。
- 契約の目的や内容が明確であること
- 双方がその内容に対して合意していること
- 一方の「意思表示」に対し、他方が承諾をしていること
例えば、「契約したいと思っています」という言い回しは、明確な意思表示とは言いにくく、契約が成立したとまでは断定できません。
「思っています」は契約の意思表示として成立する?
「契約しようかな〜と思っています」という表現は、法的には検討段階と解釈される可能性が高く、契約の確定的意思とは見なされにくいです。
このため、契約書の記名押印や同意クリックがない状態では、「一方的な違約金の請求」は無効である可能性が高いです。
違約金を請求された場合の対応方法
もし「違約金が発生する」と一方的に通知された場合は、以下のように対処しましょう。
- 契約書や利用規約に違約金の明記があるか確認する
- 記録を保存(LINE、通話ログ、メールなど)
- 契約の意思表示をしていないと主張する
- 不安がある場合は消費生活センターか弁護士へ相談
また、「契約書もなく、意思も示していない」場合には、消費者契約法や民法に基づき無効を主張できる余地があります。
類似事例から学ぶ:トラブル防止のポイント
近年、ライブ配信事務所とのトラブルは増加傾向にあります。以下のような事例が報告されています。
事例①:「電話だけで契約と言われたが、契約書は送られてこなかった。それでもキャンセルしたら違約金10万円を請求された」→消費生活センターへの相談により請求が取り下げられた。
事例②:「契約後に辞めたくなったが、契約内容があいまいでトラブルに。SNSで警告文を出され精神的ダメージを受けた」→法的措置の示唆で事務所と和解。
信頼できる事務所かどうかの見極め方
契約前に以下の点を確認しましょう。
- 企業の実態(法人登記・代表者・住所)
- 契約書の提示の有無と内容の明確さ
- 報酬体系や違約金など不利な条項がないか
- ネット上での評判や過去のトラブル事例
不安がある場合は、「契約しない」と明確に断ることが最も安全です。曖昧な返答を避け、意思をはっきり示しましょう。
まとめ:書類がなければ契約成立は困難、冷静に対応を
「契約しようかなと思っています」といった曖昧な表現では、口頭契約が成立したとは言いにくいのが実情です。違約金の請求などには、法的な根拠があるかを確認し、慌てて支払わないことが大切です。
書面や明確な合意がない場合は、契約が成立していない可能性が高く、不当な請求については消費者保護の観点からも無効と判断される可能性があります。不安な場合は消費生活センターや法律の専門家に相談し、冷静に対応しましょう。