自転車での交通事故に遭った場合、「物損事故」として処理されると、治療費や自転車の修理・買い替え代などを請求できないと誤解されがちです。しかし、状況によっては損害賠償を受け取ることが可能です。この記事では、物損事故として処理された場合でも費用を回収するための具体的な方法を解説します。
物損事故と人身事故の違いとは?
警察への届け出には「物損事故」と「人身事故」の2種類があり、事故直後にどちらとして処理するかによってその後の対応が変わります。「物損事故」は物への損害のみを扱い、「人身事故」はケガや治療費など身体への影響も対象とします。
今回のように警察から「物損の方が簡単だ」と言われたケースでも、被害者が軽傷でも通院や治療費が発生した場合、人身事故への切り替えが可能です。
物損扱いでも治療費は請求できる?
たとえ事故が物損扱いで処理されていても、相手に過失がある以上は、相手の任意保険から治療費や薬代を請求することが可能です。まずは診療明細書や領収書を準備し、相手方の保険会社に補償の交渉を行いましょう。
なお、保険会社が「物損なので支払えない」と主張してきた場合には、事故状況を整理し、実際に怪我をして病院にかかった証拠を示すことで交渉余地が生まれます。
自転車の修理費・買い替え費用も請求対象に
自転車が全損してしまった場合は、その買い替え費用も損害として請求できます。必要な書類は以下のとおりです。
- 修理見積書または購入レシート
- 写真など損傷の確認ができる資料
- 事故証明書(警察発行)
保険会社との交渉には、物的証拠の準備がカギです。被害額を明確に伝えることで、賠償金額の正当性を主張できます。
物損事故から人身事故への切り替え方法
事故当初に物損として届け出ていても、後日になって症状が出てきた場合や通院が必要になった場合は、人身事故への変更が可能です。警察署へ「人身事故に切り替えたい」と連絡し、診断書を提出することで変更手続きを行います。
切り替えには事故日から10日以内が望ましいですが、それ以降でも認められる可能性があります。早めの対応が大切です。
相手の保険会社が対応しない場合の対処法
相手の保険会社が非協力的だったり、支払いを拒否された場合は、以下の機関への相談が有効です。
- 交通事故紛争処理センター
- 法テラス
- 弁護士(交通事故に詳しい専門家)
相談は無料で受けられる場合も多く、保険会社との交渉を専門家に任せることで、スムーズな解決が期待できます。
まとめ:物損でも損害は回収できる
たとえ物損事故で処理されていても、病院の治療費・薬代・自転車の修理費などは相手の保険から請求する権利があります。事故証明書、診断書、レシートなどの証拠を揃え、冷静に交渉を進めましょう。
納得できない場合は、人身事故への切り替えや第三者機関への相談も検討し、被害を適切に補償してもらうことが重要です。