交通事故後の治療において、最初に通った整形外科から他の病院へ転院するべきかどうかは、症状の継続性や診断精度、将来的な後遺障害認定の可能性に大きく関わってきます。特に検査設備が限られている医療機関に通院している場合、精密検査ができる病院への転院は重要な判断ポイントとなります。
後遺障害認定を視野に入れるならMRI検査は重要
後遺障害等級認定には客観的な医学的証拠が必要不可欠です。特に手首や頚椎などの捻挫・神経障害に関しては、レントゲンでは異常が確認できないケースも多く、MRIによる神経圧迫や軟部組織の損傷確認が有効です。
レントゲンしか設備がない医療機関に通い続けていると、後遺障害の等級が非該当になるリスクが高まるため、早期にMRI検査が可能な病院へ転院する判断は合理的です。
事故から3ヶ月経っていても転院は可能
多くの人が「もう遅いのでは?」と不安になりますが、事故から3ヶ月経っていても、転院は法律的にも医療的にも可能です。
ただし、症状固定までの期間が近づいているため、保険会社に「打ち切り対象ではないか」と疑われないよう、主治医からの紹介状や医学的理由を明示することが望まれます。
保険会社との関係や連携の注意点
転院する際は、まず保険会社(加害者側の任意保険)に一報を入れておくとスムーズです。許可制ではありませんが、無断転院は治療費支払いの対象外とされるリスクがあります。
特に後遺障害等級認定を視野に入れている場合、自賠責保険の調査対象になるため、診療録(カルテ)や画像診断結果が整っていることが大切です。
転院後に気をつけたいポイント
- 初診時には事故の経緯・治療経過・現在の症状を詳細に説明する
- MRIやCTなどの客観検査を早めに依頼する
- 医師に「後遺障害認定を視野に入れている」旨を共有する
これらを意識することで、転院先でも一貫した治療方針と記録の確保が可能になります。
実際の転院事例:後遺障害14級認定が通ったケース
頚椎捻挫で近所の整形外科に3ヶ月通院していたAさんは、痛みが改善されずMRI設備のある総合病院へ転院。MRI検査で軽度の椎間板突出が確認され、主治医からの意見書と画像を提出したことで、後遺障害14級9号が認定されました。
このように、適切なタイミングでの転院と精密検査が、将来の補償に大きく影響することがあります。
まとめ
・事故後3ヶ月経過していても、症状が続くなら転院は可能
・後遺障害等級を狙うなら、MRIなどの精密検査を受けられる病院を選ぶ
・主治医や保険会社との連携を怠らず、治療記録と画像証拠の一貫性を意識する
・不安がある場合は、交通事故に詳しい弁護士や行政書士に相談するのも有効
適切な医療機関を選び、将来の補償や回復の可能性を最大化する選択をおすすめします。