コロナ禍の間、職場でマスク着用が半ば強制され、今では外したいのに外せず悩んでいる…そんな状況から「会社に慰謝料を請求できるか」「いくらくらいが妥当か」と考えている方に向けて、法律の視点から要点を整理します。
マスク着用の業務命令は合理的か?
労働契約法第5条に基づく使用者の安全配慮義務は、感染症対策としてマスク着用を命じることを合理的としています。神戸新聞の法律相談でも、「業務命令としてマスク着用は合理的」と判断されています:contentReference[oaicite:0]{index=0}。
つまり「外せない」という主観的な苦しさだけでは、法律上の不当行為とは認めにくいのが現実です。
慰謝料を請求するには“実害・精神的損害”の立証が必要
マスク命令により身体的・精神的影響(例:過呼吸やうつの増悪)がある場合、その因果関係や程度を明らかにすれば、慰謝料請求の余地はあります。
しかし一般的な「ストレスが溜まった」程度では、請求が認められる可能性は低く、金額も50〜200万円程度の職場パワハラと同程度のケースが多いです:contentReference[oaicite:1]{index=1}。
具体的な請求額の目安とは?
仮に健康被害(呼吸器症状、精神悪化など)がある場合、労災認定による慰謝料対象や休業損害と合わせて請求が可能です:contentReference[oaicite:2]{index=2}。
目安としては
・軽度な不調:数万円〜30万円程度
・勤務継続困難な状態:50万円〜100万円程度が多く、5000万円という金額を認められるケースは極めて稀と考えるべきでしょう。
相談先と手続きの流れ
- まずは社内窓口や産業医へ相談、記録(診断書、発症日、マスク着用指示の文書など)を集めましょう。
- 状態が深刻なら、まずは弁護士による警告書発出や労働基準監督署・労働組合の相談も有効です:contentReference[oaicite:3]{index=3}。
- それでも解決しない場合、慰謝料請求の内容証明・調停・訴訟へ進む流れになります。
ケース別の対応例
例えば、呼吸困難や過呼吸が続く方が医師の診断書を取得し、会社の業務命令と関係があると判断されれば労災認定→休業補償+慰謝料が可能です。
逆に「外したいだけ」の苦痛は主観的なストレスに過ぎず、慰謝料が認められたり高額になる可能性は低いです。
まとめ:5000万円を請求できる?現実的見通しは?
結論として、マスク強制によって健康被害や精神的苦痛が明らかに裏付けできなければ、慰謝料請求は困難です。請求額はケースによりますが、数十万円〜100万円程度が相場と考えるのが現実的です。
会社に強制された影響で「土地と家を買いたいから5000万円ほしい」などの希望額は、裁判基準から大きく乖離しており、認められる可能性は極めて低いことを理解しておきましょう。