ファンイベントなどで撮影した芸能人の写真を、記念としてアルバムにして残したいと思う方は少なくありません。しかし、写真に写る人物が著名人である場合、その取り扱いには注意が必要です。この記事では、自分で撮影した芸能人の写真を印刷業者に依頼してアルバムにする行為が、法的にどのような位置付けなのかを詳しく解説します。
芸能人の肖像には「肖像権」がある
まず押さえておきたいのは、芸能人であっても一般人と同様に「肖像権」があるという点です。これは、自分の顔や姿を勝手に利用されたり公開されたりしない権利です。
ただし、撮影が「撮影許可のあるイベント」で行われ、本人の同意が暗黙的に含まれていた場合、個人で保管・閲覧する範囲での使用は通常問題とされません。
アルバムを作る行為は「私的利用」の範囲?
日本の著作権法では、「家庭内など限られた範囲での使用」は「私的利用」として認められており、第三者に配布・販売しない限り原則として合法です。
したがって、撮影可能なイベントで自分が撮影した写真を、家族や自分のためにアルバムにして保存するだけであれば、違法とは言えません。しまうまプリントなどの印刷業者を使う場合でも、業者側があくまで印刷代行にとどまり、データを二次利用しない限り、法律に抵触する可能性は低いとされています。
業者側の対応と注意点
一部の印刷業者では、芸能人や著作物が写っている写真の印刷を拒否する場合があります。これは、法律上のリスクを回避するための自主規制です。
注文の際に「芸能人が写っている写真は不可」といった注意書きがある場合は、それに従う必要があります。アップロード前に規約をよく確認し、必要であればカスタマーサポートに相談してみましょう。
商業利用・SNS投稿はNG
仮に自分で撮った写真であっても、InstagramやTwitter、YouTubeなどにアップして多数に公開した場合は、「私的利用」の範囲を超え、肖像権やパブリシティ権(芸能人の名前や姿を利用して利益を得る権利)に抵触するおそれがあります。
また、加工やコラージュをして公開する行為も、元の写真が誰かわかる場合は対象となるため、注意が必要です。
事例紹介:ファンによる私的な写真活用
たとえば、あるアイドルのファンは「撮影可能なファンイベント」で撮影した写真を、しまうまプリントを利用してフォトブックに仕上げました。内容は全て自身が撮影したもので、本人のみが閲覧。業者からも特に指摘されることはなかったとのことです。
一方、別のファンは同様の写真をSNSで「アルバム完成!」と公開し、事務所から削除依頼を受けたという報告もあり、やはり用途には注意が必要だとわかります。
まとめ:個人の楽しみの範囲であればOK、ただし公開・商用はNG
撮影可能なイベントで自分が撮った芸能人の写真を、業者に印刷してアルバムにすること自体は、基本的に違法ではありません。ただし、それはあくまで「個人利用の範囲内」にとどまる場合に限られます。
公開や配布、SNSでの発信には慎重さが求められます。ファン活動を楽しみつつも、権利の尊重を忘れないことが、長く安心して応援を続けるための大切なポイントです。