略式起訴を拒否したらどうなる?正式裁判との違いや量刑への影響をわかりやすく解説

交通違反や軽微な刑事事件などで用いられる「略式起訴」。これを拒否し正式裁判に進んだ場合、判決や量刑はどう変わるのでしょうか?この記事では、略式起訴制度の概要や正式裁判との違い、実際に判決にどのような影響があるのかを、実例を交えながら解説します。

略式起訴とは?その特徴と仕組み

略式起訴とは、主に罰金刑に相当する比較的軽微な事件で用いられる刑事手続のひとつです。正式な公判を開くことなく、書面審理のみで簡易裁判所が罰金刑を科すことができます。被告人が略式命令に同意し、検察官がその内容に応じて簡易裁判所に請求することで成立します。

特徴としては以下のような点が挙げられます:

  • 審理が迅速に終わる
  • 法廷に出廷する必要がない
  • 科される刑罰は罰金のみ(懲役や禁錮は不可)
  • 必ず本人の同意(署名)が必要

正式裁判に移行するケースと理由

被疑者が略式命令に同意しない場合、事件は正式裁判に移行します。また、裁判所が略式命令に適さないと判断した場合も、正式裁判となる可能性があります。たとえば、情状酌量の余地があるとみなされたり、被告人が無罪を主張したりする場合です。

また、略式での対応に納得できない、事実関係を争いたい、記録に残したいなどの理由から正式裁判を選ぶ人も少なくありません。

正式裁判で量刑が変わることはあるのか?

略式起訴を拒否し正式裁判に進んだ場合、量刑が「必ずしも変わらない」とは限りませんが、原則として大きく重くなることはあまりありません。特に、被告人が反省しており、事実に争いがない場合は、略式と同等、もしくは軽減されるケースもあります。

ただし、次のような要素で量刑が重くなるリスクもあります:

  • 被告人が無罪を主張し証拠が不十分と判断された場合
  • 反省の態度が見られないと評価された場合
  • 裁判官の心証が悪化した場合

とはいえ、日本の裁判所は基本的に量刑の公平性を重視するため、理不尽な判断がなされる可能性は低いといえます。

略式を拒否しても有利に働くことがある

略式起訴では事実関係の詳細が記録されないため、後の民事裁判などで不利になることもあります。正式裁判で経緯や状況を丁寧に主張することで、社会的・法的な評価に差が出る場合もあります。

たとえば、事故後に真摯な謝罪や弁済を行った事実を正式裁判で詳細に主張すれば、裁判官の情状判断に影響を与えることも可能です。

略式起訴を拒否する際の注意点

略式を拒否する権利はありますが、正式裁判になると手間や時間、弁護士費用などが増える点に注意が必要です。無罪主張や軽減の見込みが薄い場合、コストとリスクを慎重に考慮すべきです。

また、弁護士とよく相談し、見通しや証拠の有無、社会的影響などを踏まえたうえで判断することが重要です。無用なリスクを避けるためにも、法律の専門家の意見は欠かせません。

まとめ:略式と正式裁判、それぞれの選択肢を理解して判断を

略式起訴を拒否しても、それだけで判決が重くなるわけではありません。自らの立場や主張、証拠の有無に応じて、最適な対応を選ぶことが重要です。安易に略式に応じるのではなく、自分の権利を理解したうえで、冷静に判断を下しましょう。

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